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原初の星  作者: 煌煌
第六話 エレバーの二人
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二人手を繋いで

 朝の日差しに頭が温められて目が覚める。まだぼんやりとした意識の中。目の前には美少女。刹那的に頭がフル回転し今までの出来事を思い出させる。朝日に照らされた彼女の髪は輝きを増していて、美しさの奔流は呼吸するのも忘れさせるほど。


「おはよう。そんなに見つめられると流石に私でも照れるよ」


 今、永遠に時が止まっても良い。けれど今日は折角の休日。天気も良くて絶好のデート日和。パールと二人で出掛けよう。


「おはよう。まだまだパールに慣れる必要があるね。だから、その。慣れるためにも二人で出掛けたいなって」


 もっとスマートに誘えないものか。僕の下手な誘い文句にもパールは文句を言わずに微笑む。


「デートのお誘いかな。私はレンとならいつでもどこでも一緒に行きたい」


 デートの承諾と可愛気の塊のような言葉。僕は握ったままの手を離し飛び跳ねて喜ぶ。

 しばらくして落ち着いてきたところで二人でリビングに下りた。母さんと父さんはすでに起きていて、朝食も終えた様子。


「おはよう。付き合ってすぐの女の子と手を繋いで両親の前に現れるなんて、私たちの息子は案外大胆だったのね」


 引いているような顔をする母さん。父さんも母さんに倣う。


「おはよう。朝から返事に困ること言わないでよ」




 パールと二人で朝食を頂く。昨日も思ったが彼女は食べ方も綺麗。汚さないように、あまり音を立てないように、そして美味しそうに食べる。

 彼女に見惚れていた僕。するとパールの視線が僕へ移り、表情が真剣なものに変わる。


「昨日のレンの質問の時に言えば良かったんだけど、今朝説明してないことがあるのを思い出した。私の願い事を叶える力は時間が経てば回復する。装置は減る一方だから今日からは食品とかも私に任せてくれ」


 一晩寝て落ち着いたのだろう。昨日よりもパールの言葉には迷いがない。僕も父さんたちも異論なく彼女の提案を受け入れる。




 朝ごはんを食べ終えた僕たち。パールは洗い物をする母さんを手伝い、僕は自慢の彼女に少しでも釣り合えるようにと身だしなみを整える。

 いつもは着ないようなスーツ。似合わずに着せられているような印象。学校の制服。特別な今日という一日には似合わない。

 胸高鳴る初デート。折角なら彼女に喜んでもらえる服装を。ならいっそのこと、本人に聞くが一番かも。


「私はいつもの服のレンが良い」


 スーツたちはクローゼットの奥へと仕舞われた。


「レンは私に着て欲しい服はあるか?」


 答えに困る質問。僕とは違って彼女は何を着ても似合う。世界中の誰よりも。僕の個人的な好みでいいのだろうか。


「どんな格好でもいい?」


 微笑む彼女。僕たちは初デートの準備を済ませた。

 あたふたしている僕を嬉しそうに見ていた母さんと父さん。出掛ける用意を完了した僕に確認する。


「ハンカチ持った? 家の鍵は? 忘れ物がないか確認してね」


 困ったものだ。僕に忘れ物癖なんてないというのに。




「じゃあ行ってきます」


 キハたちとしたダブルデートも楽しかったけれど。手を繋いでいるパールを見ていると今日は昨日よりも特別な一日になる予感がする。白いワンピースに身を包む自慢の彼女が眩しいから。


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