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原初の星  作者: 煌煌
第三十六話 始まりの終わり
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終末

 アグルさんとイオンさんの言葉は、パールを元気付けた様子。二人と仲良く話す女神を眺めて安心したのか、キハたちのことが頭に浮かんできた。やり場のない憤りと共に。

 人を滅ぼすつもりなら、わざわざ行動不能にして放置したりしないハズ。というのが、僕の希望のもう一つの根拠。しかしパールのアグルさんたちへの反応は、楽観的な考えが誤りだと気付かせたのだ。三人の最後の姿が浮かぶ。生き残れるのは、きっと僕だけ。




 もうすぐ十分。審判の時が迫る。けれど、目の前の三人は談笑したまま。せめて笑顔で別れようという想いが、聞こえるかのよう。


「時間だ」


 今度は脳内に直接流れ込んだ声。ご先祖様とは違う、暖かさのないモノ。パールの中で最初に聞いた音色と同一の響き。

 直後。光の柱が前方に出現。終末を告げる白。髪や目は色を失くし、モミジさんの容姿とは似ても似つかない。もはや完全に別神。


「して。どのように潰える? だが間もなくこの星の力は失われるのだ。時間を掛ければ悲惨な結果となるのみ。早く選べ」


 ナニモノにも染まらない純白。感情も読み取れず。僕を見つめてただ告げたのみ。

 視線が僕に集まる。決めるのは、僕。


「もし星の力が失くなると」


 質問は最後まで許されず、奴に遮られる。


「爆発することになる」


 生き残れても爆発に巻き込まれてすぐに星の人たちと再会できそう。なら一層のこと。無駄だとしても、みんなの仇と闘うか?


「私の手を煩わせるか? あの三人と同様」




 現在の僕の体は、思考と繋がっている。


「キハたちまでバカにするのか!」


 言葉を発した時には、想像剣を構えて奴の背後にいた。そして右へと水平斬り。パールニウムの銀色が尾を引き、空間を裂く。

 白は防御の構えさえ見せない。目の前に、確かに存在する強大なモノ。だというのに、まるで幻であるかのようにすり抜けた。


「それで。どのようにするつもりか」


 存在を消すイメージ。とにかく攻撃力重視の一閃。何度手を変え斬り付けても先ほどと一緒。意にも介さぬように尋ねるのも。


「パールにでも決めさせるか?」


 僕の神経を更に逆撫でする一言。憤る心に三色の火がつく。瞬間移動で距離を作ると、黄の弾丸で穿つ。そして再接近から緑の残像を伴う無数の斬擊。すると奴の体にダメージが見え、蒼い炎を纏ったパールニウムの刃でトドメ。奴は眩い光を放ち、消滅。




「気は済んだか」


 純白の中に僅かな怒りが表れ、僕の無力を引き出す。心は動きを導くのを止め、身体は糸を切られたかのように崩れる。


「私には全てが効かぬと言ったであろう」


 巨大な力を持つ始まりの神と闘うのには、今の僕ではあまりにも不足。


「もうよい。お前は違う。消えておれ」


 僕を包む冷たくて白い光。


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