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原初の星  作者: 煌煌
第三十五話 ハッピーエンド
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降臨

 僕と同時にパールも動いた。やはり彼女も探知を止めてはいなかったのだろう。発生源はトパーズを倒した地点。目と鼻の先。


「おや。ちゃんと学習シテ、偉いじゃナイ」


 復活したといっても、傷だらけで虫の息。全てを擂り潰す威圧感もない。三番目の神の残滓は既に嫌味もマトモに言えない様子。


「見ての通り、お母様の力の前では、神でも不死身ではいられナイ。戻って来られたのは伝えるコトがあるからかシラ」


 奴は地面を這ったままでエレバーの兵士を見ると、歪な笑みを浮かべた。直後、今までの怨みを伴うように、三人が声を上げる。


「今更キサマに言われることなどない!」


 彼らが蹴り飛ばすとトパーズは消滅。だがすぐに同じ状態で再生。まるでトリーさんの分身体のよう。警戒しておかなければ。


「レン・ドレイグ。お前の剣でしかアタシは殺せナイ。せめて話を聞いてからでも遅くはないだロウ?」


 肌と髪の色の他はパールと同じ。だから、別人だとしても気持ちが揺らぐ。すると本人が僕の左手を取り、姉に告げる。


「容姿を利用するようなことをするな。お前も神の一人だろうが」


 左腕を絡ませると舌を出して不服の表情。やはり可愛さの次元が違う。見た目がパールと似ていても意味がない。可愛げは内面から生まれるものなのだから。


「お前こそ人間に恋心を抱くナド」


 言い掛けて口を止めたトパーズ。そして。


「下らない言い争いをする時間はナイ。必要なコトだけを教えてヤル」


 パールに向けていた怒りから、またしても笑顔へと変わった。何か裏があるのは確実。不審な動きを見せればすぐに斬る。




「伝えるコトはただ一つダケ。アタシは国を乗っ取り、利用はしたが、今回しか強制的に身体を動かしてはいナイ」


 恍惚に歪む顔。力を失くしたというのに、周囲の空気を凍てつかせるトパーズ。なのにまだ、奴の口は動きを止めない。


「元々エレバーの連中には、カラルへの怒りの感情があっタ。アタシはソレを利用したというダケ。アタシが消えても必ず戦争は繰り返さレル。ずっと、ずぅっとねェ」


 ヴァンさんは腰が砕けたかのように尻餅をついた。傍の二人は膝を突くと彼の様子を見ている。彼らの反応に、狂ったように笑い声を上げる悪魔。続けさせてはいけない。


「あぁ。まだあっタ。これは不出来な妹ニ」


 想像剣にパールニウムの刃を出す。そしてトパーズの消滅するイメージを叩き付けた。


「アタシもこの星の住人なの」




 背後に響くパールの叫び。僕の視界には、消えゆく邪神の笑顔の破片。


「ミチヅレダ」




 トパーズは想像剣の力で完全消滅。同時に形容し得ない存在が原初の星へ降臨。国境で睨み合いを続ける父さんたちの前方。神覚が勝手に彼女を捉え、身体は震えを止めない。

 白と黒が交差する視界で、なんとかパールの身体を掴んだ。無尽の水を噴き出し、創造の火を発する彼女。僕もきっと同じ状態なのだろう。


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