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原初の星  作者: 煌煌
第三十三話 覚醒
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桃と茶

 大して痛みは感じないものの、死角からの攻撃が続く。毎回驚かされているから、心臓には悪いだろうな。などと考えていた。

 視界の中央に敵を据える。なのに次の瞬間には衝撃が襲う。次で十回目。見ている体と別方向からの打撃。だが今回は目を動かすのを止めた。すると敵の体は音もなく崩れ、地の中に溶けていくではないか。

 不気味な能力。だがパールを待たせているのだから、いつまでも付き合っている訳にもいかない。今回は気絶してもらうとしよう。

 想像剣は展開済み。あとはビームの刃を敵に向ければ勝てるハズ。視界の中央の男へと水平斬り。雨を消し去りながら進む剣が奴を捉えた。と、同時に男の体は崩壊。

 そして襲いくる左からの衝撃。




 終わると思っていたのに続く戦闘に、僕が戸惑いを隠せなくなった次の刹那。役所方面から響く音の波。鐘の音色を思わせる美しいモノだが、世界の崩壊へのカウントダウン。


「パールたちの戦闘が始まったのか」


 一度鳴れば止まることはない。視線を移す余裕のない僕を他所に、響き続ける低い鐘の音。早く目の前の敵を倒さなければ。




 タイミングも計れない男の攻撃。だが一つだけ対処法がある。空間認識を使うのだ。

 動作への影響がない範囲で知覚域を拡大。すると地中を伝う何かがある。僕の背後へと辿り着くと外界へ飛び出し、土の体を形成。

 地中のモノの正体は、奴の生命。なら対処は簡単。次の体に向かう前に叩くだけ。




 まずは攻撃の回避。身を屈めてストレートを躱した。すると間髪入れずに移動する敵。距離を取ろうと少し先に体を形成。魂も中にある様子。今こそ攻撃のチャンス。

 ビームを伸ばし敵の鎧を破壊。肉体が本体ではない敵は初めてだったが、想像剣は正確に狙いを突いた模様。土の檻に囚われた相手は意識を失い、ようやく停止。




「早くパールの元に向かわなくちゃ。だけどこの三人も無視できないな」


 僕の独り言に応えたのはイオンさん。


「なら私たちが見張っておきますわ。だからレンさんは、先にパールさんの所へ」


 けれどキハたちだけでなく、彼女たちまで別行動となれば、パールとの約束を守れたと言えないのではないか。なんて僕の心配を感じたのかもしれない。イオンさんが複雑な顔で言葉を付け加える。


「残念なことに、私にはレンさんの動きが見えない時がありました。だからお役に立てるとしたら、今はこれが一番ですわ」


 暗い表情を無理に明るくして、僕の背中を押す彼女。するとアグルさんまで続く。


「悔しいですけど。今回だけお姉様の騎士を譲ります。だからちゃんと守ってください」


 何か否定的なことを言えば、実際に蹴ってでも送り出されそう。しかも二人の提案以上の策は思い付かない。だから僕ができる彼女たちへの反応は一つだけ。


「ありがとう。絶対、期待に応えてみせる」


 トパーズを倒して、三人で仲間たちの元に戻るんだ。


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