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原初の星  作者: 煌煌
第三十話 わがまま
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光速のレン

 今回も僕一人対仲間五人の変則的な試合。だけど昨日よりは善戦できそうな気がする。間違いなく成長している肉体。トリーさんの接近にさえ気を付ければ、簡単に負けることはないハズ。とにかく彼女から目を離さないようにしよう。


「レンも皆も成長しているからな。訓練だというのに、見るのが少し楽しみだ」


 旅館を背にして仁王立ちのパール。腕組みを外すと右手を高く上げた。楽し気な彼女の顔に、釘付けになる視線。


「では、始め!」


 振り下ろされた右手。即座に気持ちを切り替えて戦闘モードに移行。想像剣でビームの刃を作ると、先手を取るために斬り込む。

 今回の得物は巨大だったり特殊な効果付きだったりはしない。想像剣の扱いにももっと慣れる必要があるけれど、まずは自分の体を上手く扱えるようになってから。

 最初にトリーさんを倒したかったけれど、辿り着いたのは武器を構えたセイラちゃんの前。すると僕を出迎えたのは左への横薙ぎ。パールの言葉通り、仲間たちもパワーアップしているということなのだろう。だけど。

 僕は開脚し姿勢を低くすることで、走る炎の下に身を置くことに成功。迸る熱を感じはしたものの、目の前にはガラ空きの体。左手で地面を押して勢いをつけると、起き上がりながら反撃。右足から頭へ駆け抜けたビームの光。予定とは違うけれど、一人目撃破。


「随分速くなったね。けど」




 悔しげな顔でセイラちゃんが言うように、僕には一呼吸する余裕さえもない。右からはイオンさんの、左からはアグルさんの攻撃が迫る。なのに体は宙を舞ったまま。

 勝つことだけを優先し想像剣を伸ばせば、今の状況からでも簡単に脱出可能。けど自分の力だけで戦うのだとすれば、瞬時に思い付くのは策とは呼べないモノ。


「今回はいただきます!」


 イオンさんからの勝利宣言の直後。突如として動きを緩めた左右の刃。寸止めするにもまだ早い。僕の負けたくないという思いが、アドレナリンを沸き上がらせたのだろうか。とにかく今がチャンス。

 アグルさんの薙刀を左足で蹴り上げ切っ先を逸らし、イオンさんの水刃剣とはビームの剣での鍔迫り合い。着地した瞬間に彼女の力を外側に流し、体勢を崩したところに一撃。

 二人目にビームの刃が触れる直前。空気を裂き何かが接近する気配。飛び退いたと同時に、僕がいた場所は緑に染まった。着地まで待たずにさらに連射。今回は距離を空けずに近付いてくるキハ。一発撃つたびに、銃から煌めく黄色い閃光は色味を増す。気のせいでなければ、弾速までも。

 キハの奥には体勢を立て直したアグルさんたち。三人に囲まれるとマズい。もう一度、僕の方から斬り込んで行かなければ。

 脚に力を入れると、弾丸を潜り抜けながらキハへ接近。横を通ると共に斬り払った。


「くっ。やっぱ速ぇ」




 二人目撃破。そして今度こそと思いトリーさんを探す。すると離れた位置に人影。見付けたのは大人の男性数十人。なら彼女は彼らの後ろにいるハズ。確認しようと僕は分身体を倒しながら進む。


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