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原初の星  作者: 煌煌
第二十六話 想い
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想い人の剣

「想像剣が無いまま戦って勝てるような相手でないのは分かっているだろ?」


 彼女の言う通り。確かに動きを見切れたとしても攻撃が効かなければ意味がない。一刻も早く相棒を修理しなければ。

 とは思ったし、トパーズの狙いの一つだと聞いていたから残骸も集めた。けれど特別製と言っていた想像剣。本当に元通りになる物なのだろうか。


「次は悲しそうな顔だな。本当にこの剣を直せるのか。とか考えてるのかな」


 例の石の力は心を読み取る能力までも向上させたのかもしれない。でなければパールが生きていた喜びから、表情筋が緩んでいるのだろうか。何にせよ我らが女神様は絶好調のご様子。だからこそ伝えられる。


「パールが無事で本当に良かった」


 


 浮くのを止めたパールは地上に降り立つ。僕は他の人の目も気にせず彼女に抱き付く。


「ありがとう。それから心配掛けてゴメン」


 優しく包み込むような声。そして鼻に届くイチゴの香り。柔らかい白い肌。

 非常時だというのに安心して僕は泣いた。パールは何も言わず優しく包む。




「ゴメン。話の続きを聞かせて」


 おそらくは数分後。落ち着きを取り戻した僕が聞く。冷静さも取り戻せたのか仲間たちの様子を窺うが、トリーさん以外には引いている人はいない。


「じゃあ。まずは想像剣について。ソレは私が原初の星と共に母から貰った物だ。自分の騎士に選んだ者に渡すようにと言われてな」


 だからフレアは騎士に選ばれた者同士とか言っていたのか。だとしたらトパーズは何の迷いもなく自分の選んだ人物を。


「次に想像剣をどうするのかだが。元通りに直すというのは不可能だ」


 パールのことだから対策は考えてあるのだろう。でなければ自慢気な表情が出るハズがない。すると予想は当たっていたらしく、僕を指差すと彼女は微笑む。


「後はレン次第ではある。先程言ったパールニウムを使えば以前よりも強力になって復活するだろう。しかしこの素材は私自身の力を写す物。副作用の可能性もある」


 トパーズの実験では幾多の人が失敗し悲惨な目に遭ったのだろう。恐らく近しいものがあるハズ。だが、彼女のドヤ顔が気になる。


「というのは相性最悪だった場合だ。しかも武器だけならば危険なら放せば済む」


 どうりで自慢気な顔をしていた訳だ。僕に危険が及ぶなら、パールに余裕ができるとは思えない。安心した僕を他所に彼女の表情は一転。次の言葉は言い難そうな様子。


「私とトパーズは四姉妹。お互い別の次元に住んでいてそれぞれ不干渉を貫くように母に言われている。そして私は星の住人同士の争いに過分な能力を使わないという条件で剣と星を戴いた。つまり本来はルール違反」


 彼女の定めたルールの理由は分かったけど一つ気になることがある。


「じゃあ何故僕たちには武器を与えたり助けたりしてくれるの?」


 僕の質問にパールは紅潮。今の説明よりも更に言い難そうに話す。


「それは。トパーズの関与が非常時だから。それと私の騎士は三人と意味が違うから」


 パールの解答に女の子たちは納得の様子。トリーさんまで唸りながら頷いている。もし今よりも詳しく聞こうとすると恐ろしい目に遭う。と本能が警告を鳴らす。だから二人になってからパールに直接聞くことにしよう。


「でもそれってルール違反」


 キハの声に振り向く。すると目に映るのは横に座るセイラちゃんとアグルさんの肘打ちを受けて短い悲鳴を漏らす彼の姿。


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