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原初の星  作者: 煌煌
第二十五話 終わりの始まり
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 フレアは剣を右手に持ち、顔の左へ持って行く。刺突の構え。まさか弟と同じ攻撃方法とは。接近速度が増しているのも同じ。ただ一つ違うのは兄の方が数段速いこと。弟の倍以上の速さ。実力を隠していたのは敵側全て同じらしい。

 だけどまだ何とか見える。父さんとの修行の成果。動体視力の向上が僕を救う。


「そこだ」


 相手の剣を狙ってビームの刃を出力。だがフレアは体を急停止させて回避。そして手首を翻すと右への薙ぎ払い。僕は後ろへ跳んだけれど、炎は鎧を掠めて腹部に熱が伝う。

 剣に触れずとも鎧が溶けている。もし直撃すれば終わり。だとしても、パールを残して死ぬ訳にはいかない。彼女のいる部屋に通すのも駄目だ。だから何としても勝ちに行く。




 今度は僕から攻める。反応速度の向上が父さんの修行の成果なら、身体能力の向上は奴が殺したゴランさんとの修行の成果。

 剣を左側に向ける。そして踏み込む。今の僕の全速力。もし通用しなければ他の戦法を編み出さなければならない。


「反射神経と比べるとまだまだだな」


 右へ向けての水平斬り。暗闇で煌めく赤い閃光は、後ろに跳んで躱された。ならばと次は突きを繰り出す。着地と同時にフレアは右にスライド。奴の炎が怪しく揺らめく。

 水平斬り、突き、斬り下ろし。三つの攻撃を繰り返すこと数分。だけど、全てが直前で躱される。気付けば周辺の壁は崩れ、外の光が廊下を照らす。



「もういい加減終わりにしよう。不出来だと言ったが、まさかこれほどとは」


 火力を上げるフレアの炎。もはや中心の剣は姿を隠し、黄金の煌めきを窺い知ることは不可能。見えないのでは剣筋を見切るのも。


(自分に太刀筋が見えている限り直撃はあり得ません。まだしばらくは負けませんよ)


 頭の中を過る言葉。奴に見えない攻撃を。


「最後だ」


 フレアが後ろへ跳ぶ。火を蹴るように宙を舞い、奴が向かう先は玄関ホール。炎の塊を背に回すと、水平斬りの構え。広い場所から狭い廊下を焼き払われたなら、僕には逃げ場なんてない。


「ちっ」


 奴の視線が僕から外れ、背後を捉える。弟ごと焼き払うのを躊躇ったのだろう。そして大きな炎を纏ったまま着地。最大火力の一撃は、装置のある部屋と玄関ホールを仕切る壁を焼き尽くす。


「まずい。あそこにはパールが!」


 すぐに通信を入れる。しかし応答がない。


「ふむ。やはりパールが機械か。見た目からほぼ間違いないとは思っていたが、巻き添えを受けて死ぬとはな。可哀想に」


 パールが可哀想、だと? カラルだけじゃなく、世界中の人々を幸せにしたいと願ったパールが。死んで言われるのが可哀想?




「ふざけんじゃねぇ! このバカヤロー!」


 次の瞬間にはフレアの顔に拳がめり込んでいた。奴は吹き飛ばされながら爆炎を放射。けれど俺は構わず突進。想像剣でビームの盾を作り突き進む。


「剣だけではないのか!」


 半ば溶けかけていた想像剣で殴る。フレアは炎を纏った剣でガード。しかし知ったことではない。想像剣ごと奴の剣を砕く。


「うるせぇ! そっちの得意な肉弾戦だろ。とっととかかって来い!」


 今、心の中にあるのは、ただ燃え盛る炎。


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