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原初の星  作者: 煌煌
第二十四話 煌めく剣
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ゴラン

 父さん母さんと別れてテレフープの中。僕の家を粉々にしてきたことや、囚人まで脱獄させたことを考えると、今までのような機械の情報を狙った少人数での作戦ではないことが窺える。おそらく敵部隊の総攻撃。風使いや加速する奴もいるだろう。知らない相手もいるかもしれない。だとしたらキハとセイラちゃん以外にもアダマントの武器が必要。


「ゴランさん待ってください。パール。アダマントの武器をゴランさんたちにも用意しておこう。みんな長剣で良いかな?」


 出口直前。光の前でゴランさんを呼び止めた。外に出てからだと他の人の目にパールの能力が触れる恐れがあると思ったから。


「やはりパール様は機械ということですか。確信も持てず、内通者の可能性も否定しきれなかったのでフレアくん共々黙っておりましたが、今の言葉で確証を得ました」


 逆光でゴランさんの表情は読み取れない。けれども震える声からは、感動や尊敬の念が感じ取れる。合流次第フレアさんにもパールの秘密を打ち明けることにしよう。


「うん。そういえばゴランは、機械としての私のことは尊敬してくれていたな。機械様の擬人化とかなんとかって」


 とんでもない秘密を暴露されたらしい。彼の崇める神によって、顔の見えない状態だというのに焦りの色が伝わる。


「今だとお姉様の擬人化はメジャーな分野。だけど有名な絵描きさんたちも、本物のお姉様の千分の一の魅力すら表現できてません」


 戦闘前だというのにパール人形を見てから興奮気味のアグルさん。出口の光もいらないほどに目を輝かせている。


「ですが、筋肉副将軍さんは最近絵柄が本物のパールさんに近付かれましたわよ?」


 本題から逸れた会話にイオンさんも続く。すると、二人の様子を見ていた僕の背中から聞こえる咳払い。


「今はそんなことを言ってる場合ではない。ワシは籠手をお願いします」


 ゴランさんが騒ぐ二人へ注意。すると彼の後に続いてイオンさんたちも要望を告げる。

 ゴランさんはガントレット。アグルさんは薙刀。イオンさんは二対の短剣。ゴランさんのは武器というよりも防具な気がするが。


「大剣とかじゃなくて良いんですね?」


 装備を着けて指部分を動かすゴランさんに最終確認。今なら追加で武器も出せるが、彼は首を縦に振る。だが歴戦の勇士である本人が気に入っているなら問題ないのだろう。




 出口の先は役所の入り口前。予想とは違い外観には爆破された様子はない。


「ゴラン中将。現時点で、敵の数は三人。上に一人。入り口を守るように一人。そして、機械の部屋へ一人向かいました」


 傷だらけの警察官。地面に伏せて息も絶え絶えに話していたが、報告を終えると意識を失う。するとゴーグルが鳴り出し鎧が展開。同時に入り口の扉が開き、現れたのは最初の敵。加速する能力の使い手。


「これはこれは、皆様お揃いでぇ。殺されるためにわざわざやって来るなんてよ。余程暇なんだなぁ」


 いつも通り自信に満ちている相手。しかし前と違うのは、奴の全身を包む黄金の鎧。


「相手は一人。全員で戦う必要はない。皆はワシが引き付ける間に通り抜けて装置の元へ急げ。バリアが壊されたらお仕舞いだ」


 右手に握り拳。左手は開いて胸の前から敵の方向へ動かす。ゴランさんは一人で戦うと決めて集中している様子。彼の提案を聞かずに全員で相手をしたのでは、僕らを先に送り出した両親の想いが無駄になる。だから。今はゴランさんを信じるしかない。


「聞こえてんぜ? 誰が通すかよ。上の階でスエロが警察を押さえ付けてるのに、ここを突破されちゃ隊長に顔向けできねぇ。なんてのはタダの建前。レン・ドレイグゥ。今日はお前を殺して良いって命令なんだよ。楽しみにしてたんだから、なぁ!」


 話しながら繰り返していた小ジャンプ。力を加えた状態での踏み込み。前回までの奴は全力ではなかったというのだろうか。最後の模擬戦のフレアさんを優に超える接近速度。だが、父さんにまでは及ばない。


「今の僕なら勝てる」


 想像剣を抜きアダマントをイメージ。いざ激突の時。


「やらせんのはワシとて同じ」


 スピードの乗った敵のパンチを掴む巨碗。


「徒手空拳での戦い。受けてもらうぞ小僧」


 勢いを利用したのか、単純な筋力なのかは不明。けど確かに上空に投げ飛ばされた敵。


「ワシに任せて先に行け。あの程度なら五分で倒して合流してみせよう」


 力強い言葉に送られ役所の入り口を潜る。中に入った僕たちの目に映るのは、傷だらけの警官たち。そして。


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