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原初の星  作者: 煌煌
第二十三話 悪戯
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新たなる幕開けの予兆

 明確に定めていた近い目標。パールの言葉で決めた遠い夢。両方父さんに関わること。そして二つを達成できれば、僕と彼女の願いである世界平和も叶えられるだろう。




 目が覚めると午前七時。既にパールは下に降りてお弁当の用意をしている模様。ベッドに微かに残る甘い香りを、肉の焼ける匂いが塗り潰す。二つの刺激で徐々に動き出す頭。


「僕の週末の楽しみが!」


 覚醒した脳ミソが導き出した第一声。未来の英雄には似合わない言葉。父を超える偉大なる勇者になれたとしても、パールがお弁当を作る姿を見たいという欲求には敵いそうにない。




 彼女の料理姿を目に収め、完成したお弁当を持ってお出掛け。今日は時間がないこともあり、二人でいつものカフェで軽めの朝食を頂く。食べ終えるとお昼まで残り三時間。

 テレフープを潜り抜け僕たちの島へ到着。そして二人で仲良くジョギングを開始。本当なら前回までと反対方向に行ってみたかったのだが、時間的に余裕がある訳でもない。今日は諦めて山の頂上を目指す。




「私も大分早くなったよな? 体力も付いてあんまり疲れないし」


 普通の人なら重装備で登るような山。普段着で登頂成功している時点で離れ業。


「フレアさんとゴランさんの教え方が上手いのもあるんだろうけど、間違いなくパールの努力の成果だよね」


 僕の言葉でパールは喜び、山頂からの絶景すら霞む輝きを放つ。

 気持ちは暑くなっているが、流石に動かずにいると凍りつく寸前。僕たちは山小屋で暖を取ると、森の手前のコテージを目指す。




 五分ほどで到着。ゆったりとした時間を過ごし、昨日の激闘の名残を取り除く。

 パールと話しているだけで時はあっと言う間に過ぎる。気付けば正午。二人で彼女の手作り弁当を食べると、新しい修行が待ち受けているであろう訓練場へ向かう。




 到着したのは約束の三十分前。基礎訓練をこなす仲間たちにゴランさんが指示を出している。いつもならキハたちの指導役はフレアさんの務め。みんなの状況と訓練場を見回しても姿が見えないところからすると、今日はフレアさんはお休みの模様。


「見ての通り今日はワシ一人だ。なので得意な分野を教えようと思う」


 休日返上で僕たちに修行をしてくれていたフレアさん。珍しい休みの訳も気になるが、ゴランさんの特別メニューの方が気掛かり。




 僕とパールが基礎訓練を終えたのは二十分後。全員が揃ったことで訪れる訓練内容発表の時間。真一文字に結ばれた口が開く。


「レンくんはワシにも勝てた。他の皆も五対一とはいえフレアくんをも凌駕する。しかしそれは武器ありきでの話。だから今日からは素手で敵を行動不能にする術を教えよう」


 険しい表情のままゴランさんは巨剣を投げる。接地と共に響く重く鈍い音は、僕たちの新しい修行の開始の合図。


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