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原初の星  作者: 煌煌
第二十三話 悪戯
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偽りの平和

 想像剣を使わずに二人の師匠に勝利。特別な能力を持たないけれど圧倒的な戦闘能力を持つ二人。ギリギリな上に一回だけとはいえ彼らを超えたというのは、僕の成長を示す。


「見事だ。もうワシに教えられることはないと言いたい気分ではあるが、まだまだ教えるべきことは残っている」


 フレアさんと同じように、ゴランさんの顔には悔しさは見てとれない。ただ僕の成長を喜んでくれている様子。そして祝いの言葉はまだ続く。


「けれども今日は特別だ。署長にはワシから連絡を入れておくから、仲間全員でお祝いをせんか?」


 いつの間にか他の人たちの試合も終わっていて、ゴランさんの提案に沸く訓練場。遠くにいたイオンさんが近寄ってくると、今こそチャンスとばかりに大きな声を出す。


「トリーさんも呼んで九人でパーティするのでしたら大きな会場が必要ですわ。以前から一度お邪魔したかったので、レンさんのお家で開催できないでしょうか」


 僕の予想ではお嬢様然としたイオンさんの豪邸で、優雅なパーティが開かれるのだろうと思っていたのだが。我が家は九人も食べて騒げる広さはない。今回は断ろう。


「お誂え向きに地下室があるしな。ゴランが連絡してくれるならグレンたちも了承してくれるだろうし」


 口を開けた僕にパールの耳打ち。我が家の地下なら広い上に空気も綺麗。パーティ会場としては申し分ない。否定の言葉を発しようとしていた口からは賛成の言葉が溢れた。




 フレアさんがトリーさんを迎えに行くと、ゴランさんは父さんへ連絡。仲間たち四人は自分の家族に遅くなると告げている様子。

 九人揃うと僕とパールを先頭にテレフープを歩く。家に着くと母さんがお出迎え。何故だか目を輝かせるアグルさんとイオンさん。家の中でみんなに挨拶をした父さんを見ると二人は歓声を上げた。




 そして全員で会場の地下室へ。普段は訓練のための空間。しかし今日は母さんの手料理が並び、大勢の仲間で賑わい華やか。パールや父さんも楽しそう。


「こんな時間がいつまでも続けば良いのに。とか考えてたんじゃないか?」


 和やかな雰囲気のパーティでも僕の傍から離れないパール。だから頭の中に浮かばせた台詞を言い当てられたのだろう。


「当たり。顔に出てた?」


 でなければテレパシーか。なんて思ったが僕の言葉にパールは頷く。


「戦闘中じゃなければ、感情表現豊かな方がレンは似合うと思うよ」


 遠くで父さんの肩を叩くゴランさん。二人の横で母さんが微笑む。キハはセイラちゃんに料理を口に運んでもらいご満悦の表情。目を左に動かすと、アグルさんとイオンさんが談笑中。彼女たちの後ろでは、トリーさんがフレアさんの口に料理を運ぶ。


「本当にずっと続けば良いのにね」


 視界に広がる青春の一ページたち。そして他の二組に負けじと、パールの手も曲線を描いていた僕の口許へ。


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