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原初の星  作者: 煌煌
第二十二話 ゴランとの再戦
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ゴランとの再戦

 翌朝。ゴランさんとの模擬戦の前にパールとデート。先週と同じように二人の島で僕のコピー人形を相手に組手。傍から見ると今の自分の戦闘力が跳ね上がっているのだと改めて理解できた。三時間ほど二人で組手をした後、コテージでパールの手作り弁当を頂く。


「そういえば。確か人形のことでキハと何か約束していなかったか?」


 すっかり忘れていた約束をパールの言葉で思い出す。人形と手合わせしてみたいと言うキハに、今度連れてくると返事したんだ。

 お弁当を食べ終えると人形を山から回収。直接訓練場へは向かわずに一度自宅に戻る。


「おかえり。って後ろの子は大丈夫?」


 人形は顔を見なければレーシングスーツを着た人間。だから二人で担いで帰った人形を見て、母さんが驚いたって不思議はない。


「これはパールに出してもらった人形だよ」


 人形の顔を持ち上げて母さんに見せる。


「今にも動き出しそうで怖いから地下室に置いておきましょう」


 訓練やキハが使ったときに驚かせそうなので人形の使い方を説明。動くと怖がるのかと思ったが、案外平気らしい。


「今度動いてるところを私にも見せてね」


 独りでに動き出す人形は怖くても、パールの作り出したロボットだと整備士の血が疼くのだろう。地下室に設置した人形を、母さんは輝く目で見つめながら拭いている。


「実はメカとかが好きな人を整備士に選んでいるんだ。シノは特別だけどな」


 パールの意思が失くなった今でも仕事選びの基準は同じなのだろうか。という疑問は浮かんだが、何かしらの異常があれば母さんがパールに相談するハズ。今まで聞いたことのない話題だというのは問題なしということ。




 テレフープを使い訓練場に到着。人形を置きに家に帰るのは予定外だったため、着いたのは約束の十分前。なので僕とパールの目に映るのは、当然のようにフレアさんとの手合わせをする仲間たち。


「今日も頑張ろうね」


 訓練開始前のパールへのお決まりの台詞。今日は自分へも言い聞かせるような感覚。


「始まると応援できるか分からないから先に言っておく。頑張れ、レン」


 訓練の準備をしながら、励ましの言葉。前にパールの言っていた僕が勝つために必要なこと。モチロン今日も効果は抜群。おかげで基礎訓練を終わらせても疲れなど感じない。




「では約束通りワシとの模擬戦としよう」


 ルールは以前と同じ。ゴランさんに降参を宣言させるか、気絶させるか。今回は素手で彼を怯ませられるかというのはナシ。お互いに武器を使用しての模擬戦。


「よろしくお願いします」


 以前より軽くなり、全く重みを感じない鉄の剣を構えて叫ぶ。するとゴランさんは首を回しながら応える。


「よろしく。今回は楽しめそうだ」


 首を回し終えると剣を構えたゴランさん。




 試合開始。身動きしないゴランさんに対し先手をいただく。左脇に剣を向けて横薙ぎの構え。そして父さんの攻撃を頭に浮かべ踏み込む。瞬く間もなく距離を詰めると右脇腹へ一太刀。すると鋼鉄の肉体とはいえ、人から出せるとは思えない重みのある高音が響く。


「速度も威力も申し分ない。生来の才能にも溢れている。あとは敵の弱点を突ければな」


 音の正体はゴランさんの防御。大剣を軽々と振り回して僕の一撃に合わせたのだ。

 予想外の反応に刹那的に緩む僕の動き。彼は一秒にも満たない隙に反撃を放つ。迫るは前回と同様標的を叩き潰すかのような風圧。


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