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原初の星  作者: 煌煌
第二十二話 ゴランとの再戦
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コトバの魔法

「父さんに今までの敵は僕より弱かったのかと言われて違うと気付いたけれど、父さん並みの戦闘能力を持つ相手が出てきたらパールを守り切れないかもって弱気になってた」


 体育座りのパールの横。肩が触れ合う距離で神様への懺悔。罪ではなくても間違いではある。罰せられることはなくとも反省と改善は必要。次に繋げることが大切。だと思う。


「レンの顔からすると何かには気付いたんだと思う。だったら私はグレンとは違う言葉を掛ける」


 不安げな先ほどの表情は消え去り、パールは優しく微笑む。一呼吸置いた彼女は僕の目を見つめたままで話す。


「前にも言ったけれど。レンはいずれは父親さえも超えられるさ。私が保証する」


 父によって払われた灰色の気持ち。無色になった心をパールの言葉は七色に染める。

 他の女の子なら説得力のない気休め。だが世界中を。未だに見せぬ父の本気も見てきたパールの保証ならば。気休めという言葉では済まない自信を与える魔法となる。


「ありがとう。絶対に守ってみせるからね」


 右手を握り締めてパールに誓う。彼女との出会いによって変わった僕の毎日。戦いだけではなく、輝きにも満ちた世界。命を賭けても全てを守り通す。決意を新たに明日からの修行に励もうと気持ちを奮い起たせた時。

 僕の右手を包むパールの両手。


「意気込みは嬉しいけど。私が生き残ってもレンがいなきゃ嫌だからな」


 命懸けというのは訂正しよう。必ず二人で生き残る。パールと僕の幸せのために。




 翌朝。昨日の興奮からか早く目が覚めた。目を開くと眠りに就いた時と同じように僕の手を握るパール。


「おはよう。私も何故か早く目が覚めたよ」


 彼女が早起きしたのもきっと同じ理由。




 今日は平日。早起きしたといっても、登校までに二人で出掛けるほどの時間はない。

 パールと話している間に時は過ぎ、両親が起きてくると朝食を頂く。八時になりキハとセイラちゃんが迎えに来たので登校。




 今日も学校では何事もなく、トリーさんを含めた七人で平和に過ごす。そして放課後の修行の時間。見学のトリーさんを除いた五人はフレアさんとの模擬戦。僕は一人で腕立て腹筋スクワット百回ずつと訓練場を五十周。

 全てを終わらせると四十分強。昨日よりも縮んだところをみると、ゴランさんを引いて走る訓練の効果が実感できる。


「残り一時間はワシを引いて走ってもらおうか。理想まであと少しと言ったところかな」


 効果を感じたとしてもゴランさんの肉体は重いまま。なので僕はパールへの燃える想いだけを支えに耐え抜いた。




 短時間でも疲労は変わらない。そして疲れを治す方法も。みんなと別れた後。帰宅して両親と頂くパールの手料理。僕を癒す魔法。


「ゴランの特訓が続く間は、レンが望むなら毎日作るからな」


 明日のゴランさんは軽くなりそう。


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