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毒舌イヴァ
この古風な口調の人間が王都直属の政府の人間の一人、ジルウィード・ラーベリア、通称ジルである。別にジルは年配なわけでもなく、ただこのようなしゃべり方をしているだけである。ただの癖。
「雑魚敵ということは、またCタイプか?お主らも稼げんようじゃの。あわれな奴らじゃ」
「大丈夫だよっ。そのうちコロッと依頼来るから。糞じじいに心配されるほど落ちぶれちゃいません。アークはイケメンだしね」
「容姿は関係ないだろ。それにいつも思うのだが俺はそのイケメンの部類に入っているのか?」
イヴァは口元に大きく弧を描いた。
「ばりばりすとらいくだよ〜アー君」
イヴァはさらっと毒舌をジルに言った。アークは美貌を持ってはいるものの、自覚は無いようだ。ジルはため息をつきながら薄っぺらい封筒を鋭くアークへと投げ渡した。
「タイプCの代金の、二万シェルじゃ。お前らがいつも受け取る金はガキのお年玉並みに儚いものじゃのう。精進せい」
ジルは呆れ顔で二人に言った。イヴァはデヘへと笑いながらジルへと言葉を投げる。
「うるさい糞じじいはお帰りクダサイっ」
「懲りない奴じゃ」
ジルは苦笑いながら立ち上がった。そしてポケットから真っ黒い鍵を取り出す。
「また来る」
鍵を解放して、ジルを包んだのは闇の霧。霧が失せた先にジルの姿は無かった。
アークの顔には苦笑。
「ジル、また『隻翼の悪魔羽』を使ったようだな」
「そだねー。いいよね、あれ。糞じじいにしては良いもの持ってるよね」
「お前はギャップが相変わらず激しい」
アークは苦笑に眉の間にしわを寄せた。恐ろしく怪訝な顔だ。だがイヴァは笑みを絶やさない。