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依頼を受ける人物が二人揃ったので、ルィールは満足げに依頼の内容説明を開始した。
「それで、ですね…依頼というのはいわゆる、付き添い的なものなのです。私、この王都バフィナスから帝都メリアンダまで行きたいもので、最初は、レヴィだけを連れてまいりました。友達で、一番強いキーユーザーだと思ったものですから」
「で、メリアンダまで行きたいルィールさんが、どうして僕達を連れ添いに?」
イヴァが要点をついて尋ねる。確かに。別にアーク達を連れて行かなくても良い訳だ。
しかし、ルィールが続けた言葉に、驚愕の内容が入り混じっていた。
「あ、それは…。実を言いますと、僕、き……キーマスターなんです」
アークは勢い良く立ち上がった。
「そ、んな…馬鹿な…!」
「アーク、どうしたの?」
驚くのも無理無い。だって自分がキーマスターなのだから。
前に居るのは、偽者なのか?嘘つきなのか?アークは困惑の表情のままソファに座りなおした。
こいつは…一体……?
ルィールは苦笑いしながら話の続きを再開した。
「まぁ、突然こんなことを言われても驚かれても仕方ないですよね。お、お二人は腕の立つキーユーザーだと聞きましたので、ぜひ、一時的でもガーディアンになってほしかったものなので…」
ガーディアンとは、キーマスターを守るべき存在。あらゆる害からキーマスターを守る、いわゆる護衛である。アークもその存在のことを知っていたが、つけていなかった。つける必要も無かった。