1. いつも通り
―― 現在 ――
「おはよー」「おはよ!」「あー、ねみぃ。」「ほんとそれなー。」
いつも通りの朝。通学路は学校に向かうにつれ、だんだんと活気を帯び騒がしくなっていく。
「#瑠依__るい__#っ おっはよー」
頭上から私の名前を呼ばれ上をむく。するとそこには私の友達の結花がいた。
「おはよ、結花」
結花はホウキに股がっていて、こっちに向かってくる。
現在の西暦は2230年。
今より500年程前、この世界は争いが耐えなかった。
その為人間はこの500年の間に、魔力を操る力をつけた。いわゆる魔術師だ。
そして、魔術師よりは数が少ないが陰陽師も現れた。
ここ300年の間に妖が姿を見せるようになった為だ。
魔術師にも陰陽師にも力の強さを表す階級がある。
階級が上の者程、待遇がよくいい扱いをうける。
ホウキに股がりながら私の隣にきた結花が話しかけてくる。
「るーいっ、結花のホウキタクシー乗っていきませんか~?」
そう言うと結花はホウキで私の周りを一周して
「ほらほら、はやく乗ってくださいよ~」
なんて言う。
「はいはい、分かりました。安全運転でよろしくね。」
結花は魔力があるが、私は生まれつき魔力のないノンスキルの為、結花のホウキに股がり学校まで送ってもらう。
「じゃあ、しゅっぱーつ!」
いつも通りの朝。いつも通りの生活。
全部、いつも通りの高校生活になるはずだった。けどそのいつも通りは起こらなかった。
私に「いつも通り」はやってこない。
5年前からそうだった。あの時から私の世界は「いつも通り」ではなくなってしまった。