初陣part4
「えーと・・・多分この辺に・・・」
僕と圭汰さんはひとまず近くの空き家に入り
〝ある物〟を探していた。
家の中は朽ち果てているかと思っていたが意外と綺麗だった。木製の椅子や机、食器なんかも置いてある。
「・・・!、あった!ありました!」
僕は探していたものを見つけた。しかも結構沢山あった。多いに越したことはない。
「よし、これで作戦は実行出来そうだな。あとは・・・成功するのを祈るだけだ」
「そうですね」
僕はソレをアイテムというコマンドをタップして
ストレージにしまい込んだ。
「じゃあ、行ってきます。〝合図〟したら頼みますね」
「あぁ、分かった」
圭汰さんはスナイパーライフルを実体化させ、僕と別れた。
さて、さっき狙撃してから3分程経過したが、諒人達は未だ姿を見せない。
「さっきは外してしまったが、次は絶対外さない」
諒人が標的を引っ張っていなかったら確実に当たっていたが・・・
「・・・?」
スコープで覗いていると、諒人出てきた。それも何も持たずに。
「・・・どういうつもりだ?」
思わずそう口にせずにはいられない。
スナイパー相手に無防備に出てくるなんて自殺行為もいいところだ。諒人はこちらを見ながらゆっくりと歩いて近づいてくる。
諒人を囮にしてもう1人が俺を仕留める策?
だが、スコープで見渡す限り隠れている気配はない。隠れているであろうもう1人に注意しながら
諒人を狙撃することにした。
諒人はまだゆっくりと歩きながらこちらに近づいてくる。
「悪いな諒人」
俺は躊躇いもなく頭を狙って引き金を引いた。
バァン
そのまま頭に当たってヘッドショット・・・のはずだった。
カキンッ
野球選手がボールを打ったような音がした。
「・・・何!?」
諒人は無傷だった。そして右手に持っていたのは
「・・・フライ・・・パン?」
なんと諒人は俺が撃った弾をフライパンで弾いたのだ。
「そんなのアリかよ」
諒人はホッとしたような顔をしていた。
「じゃあ・・・2発同時なら・・・?」
俺は2発弾を撃つ。
バァン、バァン
すると諒人の左手から何かが現れた。
フライパンだ。それで器用に2発とも弾く。
カキンッ、カキンッ
その動きはさながらテニスプレイヤーだ。
狙撃した弾を見て防ぐなんてどんな動体視力してんだよ。
「まぁ、流石は成哉とペアで全国(卓球)行っただけはあるってことか・・・」
諒人の力量には驚いたが、俺もここで引き下がるわけにはいかない。狩人の意地ってやつだ。
撃てる残弾は残り8発。それを使い切ったらリロードしなければならない。この8発で仕留める・・・!
バァン、バァン、バァン
カキンッ、カキンッ、カキンッッ
3発同時に撃つがそれも全て防がれる。
すると右手のフライパンは粉々になって消えた。
「成程、耐久値かなんかが有るのか?壊せるなら問題ないな」
バァン、バァン
カキンッ、カキッッンン
2発撃ってとうとう左手に持っていたフライパンも粉々に砕けた。
もう防げるものは何もない。
「終わりだ・・・」
バァン、バァン
念の為2発撃っておいた、頭と心臓部。しかし・・・
カキンッ、カキンッッッ
「・・・は?」
見ると諒人は〝両手にフライパンを持っていた〟
「まだ持ってたのかよ・・・」
すると諒人は全速力で走りながらこちらに向かってる。
撃ってもまた弾かれる。どうすれば・・・
そうこう悩んでいると諒人は俺に向かって
〝筒のようなもの〟を投げてきた。
それは綺麗に弧を描きながらこちらに飛んでくる
「・・・手榴弾!」
来る前に撃ち落とさなければ、、!!
俺は残っていた最後の弾を撃った。
1寸の狂いもなく当たる。
その直後視界が光に包まれた。
「しまった・・・!閃光手榴弾かよ!」
おかげで何も見えない・・・!
ドスッ
頭から鈍い音がしたと思ったら俺は倒れていた。
そして理解する。隠れていたもう1人に狙撃されたことを。体力・・・HPを示す数字が見る見る減っていく。
「これは死んだな・・・」
兎も角死ぬ前に〝目印〟を残さなければ。
こっちの〝作戦〟に支障が出る。
俺は倒れながら転がっていた空薬莢を2つ右手で握りしめる。あとは〝あいつら〟がなんとかしてくれるはずだ。
HPがゼロになり意識が途絶える。
「あちゃー、勇輝やられちゃったじゃん」
北の街にいた成哉ことNaruが呟く。
倒したプレイヤー達の上で寛ぎながら。
味方が1人死んだと表示された。
「お疲れちゃん勇輝。あとは任しときな」
プレイヤー達の山から降りる。
「まぁ、こっちはまだ〝2人〟いるし~・・・ねぇ」