初陣part3
「人狼・・・か」
ゲーム序盤南の街に転送された俺は自分の役職を確認していた。そしてルールと表示されているコマンドをタップして人狼の役職についての説明を読んだ。
~人狼~
人狼陣営。専用の特殊能力が使える。
能力を駆使して村人陣営を殲滅せよ。
なるほど。どうやら人狼には人狼にしか使えない特殊能力があるのか。
自分にしか見えていないであろう特殊能力と表示されているコマンドをタップしてみる。
すると特殊能力のカタログのようなものが表示される。
割と種類があるんだな。そして流し流しだが、特殊能力の説明を見る。どうやら能力を使うには
ptを消費するらしい。与えられているptは100pt。
それ以上は使えないようになっている。
「使い勝手がわからない以上、下手に使うのは辞めとくか」
特殊能力のコマンドを閉じ、見晴らしの良さそうなビルに向かう。屋上まで登り、街一帯を見渡す。
「ここからならよく狙撃出来そうだ」
武器を取り出し匍匐前進するような姿勢になり、
スナイパーライフルを持って構える。
ここからはひたすら我慢だ。獲物がノコノコやってくるのを待つしかない。
両親が共働きだった俺は祖父母によく可愛がって貰っていた。祖父は腕利きの猟師でよく猪やら熊やら狩ってきた獲物を見せてくれた。
そんな祖父を見て俺は素直に凄いと思った。
まだ小さかった俺は祖父のような猟師になりたいと心の底から思った。
中学三年のとき、受験が終わって初めて実際に狩りをする所を見学させてもらった。
罠の仕掛け方、獲物の見つけ方、銃の腕、全て目を凝らして見ていた。実際に見て祖父の凄さを改めて感じさせられる。
その後俺は地元の射撃場(祖父のコネもあって)で銃の腕をひたすら磨いた。
だから狙撃の腕には自信がある。たとえゲームだとしても例外では無い。
そう思っていると早速獲物が来た。それも2人。
このゲームのルールをまだ完璧に把握していないが出会って即攻撃!という感じではないのか。
スコープで前を走っているプレイヤーに狙いを定める。狙うのは頭。
バァン
撃った銃弾は綺麗に相手の頭に直撃、動かなくなる。
後ろを走っていたプレイヤーは突然の狙撃に慌てふためく。面倒なのですぐに狙撃。もちろん頭を狙った。今度も綺麗に直撃。一瞬で2体の屍の出来上がりだ。
俺は一旦ビルを降りて死体の元まで走る。この死体を使って罠でも仕掛けよう。
一体はその場に残し、もう一体の死体は近くの家の中に放り込んで置いた。
そしてまたビルに戻る。狩りというのは地道な作業だ。そしてまた待つ。ひたすら・・・待つ。
5分ほどしてまた獲物がやってきた。また2人。
スコープで確認する。
1人は体格のいい奴。もう1人は・・・
そのプレイヤーには見覚えがあった諒人だ。
「・・・」
俺は少しだけ悩んだ、たがそれはほんの一瞬。
俺は〝諒人じゃない方〟に狙いを定めて
引き金を引いた