今のところ順調
「状況は?」
「異常な~し」
「他のプレイヤーは見当たらない」
「特になし」
「平和すぎて暇~」
「トイレ行きたい」
西の街には6人のプレイヤーが集まっていた。
ケビン、ルイス、ビン、
ゴールデン、田中、いるかざんまいの6人。
全体の指示はケビンが出していた。
その理由としてはケビンが予言者だったからだ。
予言者はプレイヤーを〝占う〟ことで人狼か村人かを知ることが出来る。村人陣営にとっては重要な役職だ。
占い方法は主に〝2つ〟。
①予言者専用アイテム〝虫眼鏡〟をプレイヤーに当てると人狼か村人の判定が出る。
②予言者専用コマンド〝占いリスト〟から1人プレイヤーを選んで人狼か村人かを占う。
但し②は1度使うと10分間プレイヤーを占うことが出来ない。
占いリストには参加プレイヤーの顔と名前が表示されている。
予言者を引いたケビンは西の街でゴールデンといるかざんまいと出会い虫眼鏡で2人が村人であることを確認。さらにルイス、ビン、田中とも出会い3人とも村人と確認。これによって6人全員村人確定のチームを作り、西の街の見渡しの良い広場を陣取っていた。
「マジで暇~。人狼攻めて来ないかな~」
田中がさっきからこの調子だ
「レーダー使ってたらそのうちここに来るだろう」
「あんまり油断するなよおま──」
キィィィィィン
キィィィィィン
「おっと!?」
「まずい!プラズマ銃だ!全員その場から──」
離れろ!とケビンが言う前に辺りがパッと明るくなる、その瞬間
バチバチバチ、バチバチバチィィィ
雷でも落ちたような音がした。
すぐさまその場から離れたケビンとビンだけが生き残り、あとの4人はプラズマ銃の餌食となった。
「クソが・・・!」
音や範囲の広さ的にもプラズマ銃を〝同時に2発〟
人狼が撃ったようだ。プラズマ銃は人狼の特殊能力の1つだが強力すぎるので1人1発しか撃てない。つまり人狼が2人いるのだ。
「既に二方向から囲まれていたのか・・・!」
とにかくすぐにこの場から離れなければ・・・!
ケビンは人狼が撃ってきたであろう方向とは逆に走る。すると、前方100メートルほどに人影が見えた。他のプレイヤーを見つけて少しだけホッとした。
「た、助けてくれ、」
ケビンは慌てすぎていてそのプレイヤーが〝仲間が取りこぼした村人を待ち伏せしている人狼である可能性〟を忘れていた。
近づくにつれてケビンはプレイヤーの全体像を目視する。そのプレイヤーが自分を狙ってアサルトライフルを構えていると気づいた時にはもう遅かった。
ドドドドドッッ、ガガガガガッッ
リズミカルかつテンポよく発射された弾は全てケビンの体に当たり、HPがすぐに0になる。ケビンは糸が切れた操り人形のように倒れた。
「ふぅ・・・、まず一人目」
アキは緊張が解けたように溜め息を吐いた。
「そっちは終わった?」
アキは西の街の広場に行きシヴァに声をかけた。
辺りにはプレイヤーの死体が転がっている。
「あー、まだ終わってない。最後の生き残りがあそこの小屋の中に隠れちまってよ~」
シヴァが指さす方向に小さな小屋があった。
「どうして攻撃しないの?」
「慌てるな、勿論するよ・・・〝コイツ〟でな」
シヴァが持っていた銃をパンパンと叩いた。
ロケットランチャーくらいの大きさはあるだろうか、所々〝蟹みたいな〟突起が出ている。銃の色は赤銅色で一言で表すなら〝厳つい銃〟だ。
「もしかしてそれが例の・・・?」
「あぁ、俺の相棒、〝アクベンス〟だ。かっこよいだろ?」
シヴァは誇らしげに銃を見せてくる。
「とりあえずコイツで殺すわ」
シヴァはアクベンスを腰くらいまでの高さに下げ、左手で銃を支え、右手で引き金引いた。
いわゆる腰打ちってやつだ。
ボンッ
放たれた銃弾は真っ直ぐに小屋に目がけて飛んでいき・・・
バコンッッ
小屋の壁に大穴を開けた。
『レーダーで6人全員の死亡を確認』
遠くでプラズマ銃を撃っていた圭汰さんから敵全滅の報告の通知が送られてきた。
「凄い威力だね」
「威力というよりは貫通だな。貫通弾が撃てるのはこのゲームの世界ではアクベンスだけだからな」
シヴァはえっへんと言って胸を張る。
今のところは怖いくらい順調。仲間も全員強い。この調子なら勝つのは余裕かもしれないな。