初陣part6
人狼(勇輝)からの襲撃を見事返り討ちにした僕達は
勇輝の死体があるマンションの屋上にいた。
圭汰さんの提案でしばらくここで様子見するとこにした。ここからなら誰か近づいてきても上から攻撃出来るからここを陣取れたのは結構でかい。
「ライフルの弾でも貰っておくか」
圭汰さんは勇輝の死体からストレージを漁っていた。このゲームでは死亡したプレイヤーからアイテム(武器以外)を奪うことが出来るらしい。
「人狼はあと最低2人、残り時間はまだ40分ほどある。俺は北側を監視しておくからお前は南側を監視してくれ」
「分かりました」
圭汰さんの指示通り南側の監視につく。
お互いに背中を預ける。戦いを潜り抜けたからこその一時的な信頼。
5分ほど経過 しただろうか。見渡す限りプレイヤーが近づいてくる気配はない。
「一応確認なんだが、アキは役職持ちか?」
そこそこ距離が離れているので大きな声で訊ねてくる。
「いいえ、特別な役職は持ってません。村人です。圭汰さんは?」
「俺もだ。予言者でも霊媒師でもない。ただの村人だ」
今更ながら互いに役職を明かす。勿論嘘をついてる可能性も有るが人狼を倒した圭汰さんに限ってそれはないだろう。
「人狼を倒した圭汰さんは・・・信頼出来そうですね」
「作戦を考えたお前も人狼ではなさそうだな」
「つまり、現状2人村人確定ってことですか」
「そうなるな、余計に頭を使わずに済む」
「そうですね」
「さて、そろそろ人狼が攻めてきてもいいんだがな。人狼には村人側のプレイヤーの位置が分かるという特殊能力がある。俺達が芋ってるのも把握してると思うんだが・・・」
「そんな能力があるんですか?それって結構チートな気もしますが・・・有利過ぎませんか?」
「使える時間は10分間だけだからな。案外そうでもない。それに──」
キィィィィィン
いきなり何か甲高い機械音がした。
「・・・ん?何の音?」
「・・・まずい!!」
圭汰さんは僕の腕を引っ張って屋上の出入口まで全速力で走る。扉を開けて僕は放り投げられた。
目の前は階段でそのままなす術なくコロコロ転がる。圭汰さんもこちらに向かってダイブしようとしていた。
そして次の瞬間、
バチバチィィィィンンン
扉の向こうが物凄い音と共に眩く閃光する。
まるで雷でも落ちきたみたいだ。
「へぶっ」
階段を転ばずにそのままダイブしてきた圭汰さんの下敷きにされる。お、重い。
「すまん、アキ。足をやられて退けれない」
「え?」
圭汰さんの体を退かして起き上がる。
見ると圭汰さんの両足は綺麗さっぱり無くなっていた。HPも表示される。半分ほど減っていた。
〝第二の人狼〟の襲撃だ。