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約束と雨

作者: 結城 空



『2年以内にまた君の心を取り戻すから、時間をください。』




本日の天気は雨ですと、お天気アナウンサーが言っていたとおり、朝から降り始めた小雨はお昼頃には本降りとなり、大地を潤していた。

雨の日は嫌いだ。偏頭痛持ちの私は雨になると痛みとの戦いになる。

値段が高くて副作用が強い、負の連鎖のような薬を飲んで、横になるしか私に残された道はない。

それでもしとしとと降る雨の音だけは好きだった。

余計な雑音を消してくれる。

静かな世界で、私は目を閉じた。


昔の夢を見ていた。

私が言った浅はかな約束とともに君の何かを諦めたような顔。

雨に濡れて、涙を隠したあの日。

突然の別れに私の脳みそは機能を停止し、ぼんやりと、ただ君の目を見ていた。

言いたいことはたくさんあった。

ただ、私に残された時間はあまりに少なくて、必死に、必死に叫んでいた。

『あと2年待ってほしい。君が大学を卒業するまでに、また君の心を取り返してみせるから。私は君のことをずっと好きでいるから。だから、ねぇお願い、時間をください。』



うっすらと覚醒していく世界。

ざあざあと降る雨の音を聞きながら、あぁ、こりゃずいぶんと大雨になったなと、ぼんやりした頭で考える。

私の目から、一滴の涙がこぼれた。

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― 新着の感想 ―
[一言]  個人的に、雨は、嫌いだけど、雨の降り続く音を聞いていると癒されます。  自分に限られた時間しかないとしたら何ができるか、改めて考えさせられました。
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