約束と雨
『2年以内にまた君の心を取り戻すから、時間をください。』
本日の天気は雨ですと、お天気アナウンサーが言っていたとおり、朝から降り始めた小雨はお昼頃には本降りとなり、大地を潤していた。
雨の日は嫌いだ。偏頭痛持ちの私は雨になると痛みとの戦いになる。
値段が高くて副作用が強い、負の連鎖のような薬を飲んで、横になるしか私に残された道はない。
それでもしとしとと降る雨の音だけは好きだった。
余計な雑音を消してくれる。
静かな世界で、私は目を閉じた。
昔の夢を見ていた。
私が言った浅はかな約束とともに君の何かを諦めたような顔。
雨に濡れて、涙を隠したあの日。
突然の別れに私の脳みそは機能を停止し、ぼんやりと、ただ君の目を見ていた。
言いたいことはたくさんあった。
ただ、私に残された時間はあまりに少なくて、必死に、必死に叫んでいた。
『あと2年待ってほしい。君が大学を卒業するまでに、また君の心を取り返してみせるから。私は君のことをずっと好きでいるから。だから、ねぇお願い、時間をください。』
うっすらと覚醒していく世界。
ざあざあと降る雨の音を聞きながら、あぁ、こりゃずいぶんと大雨になったなと、ぼんやりした頭で考える。
私の目から、一滴の涙がこぼれた。