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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

【大和side】


「……………」

言い辛そうに視線を逸らした朔也様が、助けを求めるように私を見てくる。

何と答えればいいのか、分からなくなったのだろう。

「喧嘩などでは、ありません。クリア様が、この屋敷に来られなくなったのです」

私が答えた事によって、桐生様が後ろを振り返った。

「理由は…聞いちゃ、駄目ですか?」

「いいえ…クリア様本人にも『言っていい』と、許可を頂いております。どうされますか?」


桐生様にではなく、朔也様に向けて問いかけた。

俯いていた朔也様が、弾かれたようにお顔を上げる。

「……いつ、そんな許可を?」

ご存知ないのも、無理はない。

あの時、私とクリア様しかいなかった。

「2ヶ月半前に、クリア様と早朝の走り込みをしました。その終了後に話をしておりまして、その時に……」

「ちょっと、待ってよ!私、聞いてないわよ!?理由も、許可についても!」

楓…せめて、言い終わらせてくれ…


遮られはしたけれど、大体の話は伝えられたと思いたい。

「お前、少しは待てないのか?朔也様に、お伝えしていた言葉を遮るなよ」

言い終わるまで、何秒もかかるもんじゃないだろうに…

「あ…も、申し訳ございません!はしたない真似を、致しました…」

失態に気付いた楓は、朔也様に向けて頭を下げた。

朔也様は、無表情で楓を見ている。

その表情からは、感情が一切読み取れない。

今、何を考えておられるのか…


「……問題はない。だが…水無月の疑問については、すまないが後で話してくれ」

「は、はい!申し訳ございません…」

後が、面倒くさい事になりそうだ…

楓から視線を外した朔也様が、今度は私の方を向かれた。

「……高木、お前の返事は?」

そう言われては、了承するしか道はない。

「かしこまりました」

一旦頭を下げて顔を上げた時には、楓は朔也様からは見えない障子の影にいた。

視線が合うと、あからさまにそっぽを向いた。


なぜ、お前が怒っているんだ…

これはご機嫌をとるのに、相当骨が折れそうだ。

「……主治医の息子として、産まれた時から進むべき道が決められていた。《品行方正》《文武両道》をずっと求められ続けて、8年前…ついに、耐えられなくなってしまった」

朔也様の説明に、桐生様は首を傾げた。

「うーん…《品行方正》を求められるのは、まだ分かるよ。だけど、何で《文武両道》?」

その説明は、私がしよう。

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