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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

この勝手に動く口を、誰か止めてほしい。

泣かせたい訳じゃない。

悲しませたい訳じゃない。

でも、今…自分の目の前で、自分の言葉が原因で…大切な人が、泣いている。

「……ッ…申し訳、ございません…」

違う…

謝らなければいけないのは、俺の方なのに…

「……もう、行ってくれ…これ以上いたら、何を言い出すか分からない」

こんな事しか言えない自分が、どうしようもなく嫌いになるんだ…

「かしこまりました…」


遠くなる足音を聞きながら、謝罪の言葉を頭の中で繰り返す。

いくら感情を隠す事が上手くなっても、どんなに努力しても心までは鍛えられない。

偉そうな態度に、年不相応な話し方…

命令ばかりしているくせに、自分では何も出来ない。

いつまでも過去の悪夢に怯えて、素直に人と関われない。

苦しい…助けて…

誰か…

目頭が熱くなって、頬を涙が流れていく。

自分を、変えたい…

今の自分は、本当の自分なんかじゃない。


ーー19時00分・朔也の部屋…


泣き疲れて眠っていたせいで、腫れぼったくて重い目蓋を開ける。

時計を見て、それ程時間が経っていない事に安堵した。

とりあえず、顔を洗って来なければ…

それから、泣かせてしまった水無月に謝って…

……高木が知れば、怒るだろうか?

一時の感情に任せて、人を傷付けた。

それとも…それすら、なかった事にされる?

「朔也様、こちらにおられますか?」

……ッ…!!


襖の向こうからかけられた声に、驚いてしまった。

その声は、紛れもなく高木の声だったから…

「……何の用だ?」

「楓の事で、少々お話を伺いたい事が…」

既に聞いているなら、話は早い。

怒られるにしても、言いたい事は伝えた方がいい。

「……入れ」

「失礼致します」

ゆっくりと襖が開き、高木が一礼をして部屋に入ってくる。

1歩部屋に入った所に正座をして、開けた襖を閉めていく。

ほんの数秒の動作…


いつもなら対して気にならない一連の動作が、今はとても長く感じられる。

「……高木、お前は…俺を、恨んでいるか?」

水無月同様、高木の父親も俺を守らなければ死なずに済んだ…

自分達だけなら、逃げれたはずだ。

「私も楓も、朔也様に対して恨む事などありえません。父上は、職務を全うされました。今の私にあるのは、その誇りと…そんな父上のようになりたいという、憧れの感情だけです」

誇りと、憧れ…

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