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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

ーーーーーー…………


屋上へと続く階段の踊り場に戻って来ると、朔也様が私の方へ駆け寄って来られた。

「……どこへ、行っていた…?」

「クラスメイト様にお伝えしたい事があり、視聴覚室前で話して参りました」

嘘ではない。

朔也様の心情を探るような視線が、私を見詰めている。

「……何もなかったのなら、それでいい。桐生、すまなかった」

おそらく…いや、絶対に…話の内容について、お気付きになられている。


「あ…ううん!こっちこそ、ごめんね…」

「……構わない。別の話をしよう」

向けられた視線に、一礼で答える。

そのお心遣いが、嬉しかった。

「もう、驚かせないでよね…バカ…」

「善処する」

まだ文句を言いかける楓に背を向けて、手帳を見るフリをして誤魔化す。

「……桐生…お前には、兄弟はいるのか?」

「兄弟?いるよ。10歳の弟と、7歳の妹…今が丁度生意気盛りで、苦労ばかりしてるよ…もう、大変…」


……………なぜ、朔也様はこちらを向いている?

クラスメイト様のご兄弟の話に、私は関係ないはず…

「……苦労か…俺も、苦労かけたのかな…」

朔也様…?

一体、何を…?

「え…?美空君って、兄弟いるの?」

ご兄弟など、おられる訳がない。

…………ッ…!!

まさか…!

「……血の繋がりこそなかったが、俺には…幼い頃、『兄』『姉』と呼んだ者達がいた」

再び私達に向けられた視線に、朔也様が言わんとしている事を理解した。


「ぅ……グスッ……朔也様ぁ…」

こんな場所で、泣き崩れられても困る…

「お前は、その涙脆さを何とかしろ…」

「…グスッ……ヒック…だ…だってぇ…」

朔也様も、お人が悪い…

表情は変わっていないが、目が悪戯に成功した子供のようだ。

「朔也様…私達で遊ばれるのは、お止め下さい」

「……ハイ、ハイ。……なぁ、面白いだろ?」

駄目だ…絶対に、またやられる…

楓が、バカ正直に泣き出すから…


「うん…誰の事を言ったのか、すぐ分かったよ。水無月先輩って、分かりやすいんだね…」

「クラスメイト様…それは、あんまりですよぅ……グスッ…」

まだ、泣いているのか…

はぁ…これだから、女性は苦手だ…

「……ずっと、気になっていたんだが…その『クラスメイト様』って、まさか桐生の事か?」

まさかも何も…今この場に朔也様のクラスメイトは、この方しかいないのでは…

「出来れば、桐生でお願いします…」

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