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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

「ん?遊びたいって?」

違うのか…

「……ならば、喋ったりする方か…?」

これも違うと言われたら、どうしようかな…

「うん…間違いではないよ?間違いではないけど、それ…どこからの情報?」

「……国語辞典から。5限目に、調べてみた」

素直に答えたのに、桐生はなぜか不思議そうな顔をした。

《友達》という言葉を、辞書で調べた事がやはり変だったのだろうか…

「国語辞典って…さっきの時間、英語の授業だったはずなんだけど?」


「最初は、英和辞典を捲っていたんだが…途中で思い付いて、《友達》という単語を調べてみた。全員が辞書を開いていたし、調べるなら今しかないと思って………どうした?」

桐生は、笑いを堪えていた。

「…ふッ……ご、ごめん。英語の授業中に、国語辞典で調べ物する人…初めて見た」

特別面白い話をした覚えはないが、俺との話で笑ってくれた事が嬉しい。

『嬉しい』…?

今まで誰かと話してて、こんな感情を抱いた事はない。


「……こういう事か…」

「こういう事って?」

桐生に問われて、自分の考えを口に出していた事に気付いた。

「いや…桐生が言っていた『一緒にいて楽しい』というのは、こういう事かと思ったんだ。今まで、俺と対等に接してくれる人間がいなかった。身近にいる人間ですら、高木や水無月といった者達だけだから…」

ずっと一緒にいたあの2人とさえ、対等に話した事など全くない。


「先輩達とは、いつもどんな話をしてるの?」

どんな話を……

「基本は、連絡事項。後は…俺がして欲しい事を命令して、あの2人が実行する……大抵、そんな感じだ」

……自分で言ってて思ったが、これは話をしてると言えるのか…?

対等かどうか以前に、まともな会話すら交わせていないではないか…

「そっか…先輩達は、従者なんだもんね…対等な会話って、難しいよね…」


普通に、話せている…

こちらから命令する訳でもなく、相手から敬語が返ってくる訳でもない。

普通の会話がこんなにも嬉しいものだとは、今の今まで知らなかった。

これが、《友達》…?


ーーキーンコーンカーンコーン……


チャイムが鳴る中、教室に戻る為に階段を降りる。

「……桐生、また話せるか…?」

「もちろん!さっきの場所、屋上に鍵が掛かってるから…普段、誰も来ないんだよ。また、あそこで話そうね」


1983年4月28日…

この日、俺に産まれて初めての友達が出来た。

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