《中学1年生編》
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ーー聖陵学園・1ーA教室前…
や、やっと…教室に、着いた…
ここまで来るのに、周りからの視線が尋常じゃなかった…
美空君…有名人過ぎるよ…
「……ゅう……桐生!」
………ッ…!
「え…!?あ…ご、ごめん!何?」
あれ?何で、立ち止まってるの?
「…………自分の教室通り過ぎて、お前はどこへ行こうとしている?」
あ……うわぁ、俺カッコ悪…
カッコいい所なんて、一度も見せれてないけど…
「あ…ちょっと、考え事してて…ごめん…」
急いで、教室の前まで戻る。
「それでは、私達はこれで…6限目が終わり次第、お迎えに上がります」
「迎えのお車にて、お待ちしております」
その言葉に、美空君はゆっくりと頷いただけだった。
それを見た2人の先輩は、綺麗なお辞儀をして自分達の教室に戻って行く。
噂で聞いてた美空家の主従関係だけど、まさかこれ程とは思わなかった。
ーーキーンコーンカーンコーン……
本鈴のチャイムが、昼休みの終了を告げる。
教室に入らなきゃ…
「……桐生…先程は、高木がいる手前…聞けなかったが…」
改まって、どうしたんだろ?
「何?何でも、聞いていいよ。あ、でも…俺に答えられるか、分かんないけど…」
高木先輩がいたら聞けない事って、物凄い気になる…
「……友達とは、何をするものなんだ?」
「え!?」
まさかの、質問…
友達って、何かするものだったっけ…?
「本鈴は、とっくに鳴ったぞー!早く、教室に入りなさい!」
声がした方を見ると、5限目の教科の先生がこっちに歩いて来てた。
ヤバい!早く自分の席に行かなきゃ、減点対象になる!
「美空君!その話は、後でするから!とりあえず、教室に入って!」
ーーガラッ…!!
ーーーザワザワッ…!
あぁ~…分かっちゃいたけど、視線が痛い…
「……後でって、いつだ?」
教室中の視線を一身に集めて、このセリフ…
「ご…5限目が終わったら!とにかく、自分の席に行って!」
何とか先生が来る前に、自分の席に戻れた…
ーーガララッ……
先生が開きっぱなしだった扉を閉めて、教室内を見渡す。
「欠席者は、いませんね。では、5限目の授業を始めます。日直!」
「起りーつ!!」
ーーガタガタッ…ガタンッ!
日直の号令に合わせて、全員が席から立ち上がる。
授業に、間に合ったのはいいけど……
美空君の質問、どうすればいいの!?