《中学1年生編》
即答で、断られた…
うん…でも、当たり前の反応だよね…
今まで話した事もない人から、急に『友達に…』なんて言われても普通に困るよね…
「……話は、それだけか?高木、食堂へ戻ろう」
「御意」
食堂…
もしかしたら、食事の途中で来てくれたのかも…
ちゃんと、お礼を言わなきゃ…
「まって……」
ぐぅぅ~~~~…………
え…?
な、なんで…こんな時に、お腹が鳴るの…
どうしよう…すっごい見られてる…
「……腹が、空いているのか?」
「昼時ですから、鳴るのは仕方ない事かもしれません」
冷静に、分析しないで下さい…
これじゃあ、まるで…お腹が空いてるから、呼び止めたみたいじゃないか…
「ご、ごめん!そんなつもりは、全然!ホントに!」
「……何だか、よく分からないが…普段、どこで昼食を?」
昼…食…?
え…えっと…
「いつもは、朝に購買でパンを買って…さっきの先輩達が来る前に、教室で食べるんだけど…」
ぐぅぅ~~~………
バカ正直な体は、全然言う事を聞いてくれない…
今日は遅刻ギリギリだったから、パンも買えてないし…
「……食べる物がないなら、俺達と一緒に来ればいい」
一緒にって…それって…
「朔也様、それは…」
「問題はない。何より、あの量は…どう頑張っても、1人では食べきれない…」
口元を抑えながら言った美空君の言葉に納得したのか、高木先輩はそれ以上何も言わなかった。
ーーーーーーー…………………
ーー聖陵学園・食堂内…
「朔也様、ご無事で!お帰りを、お待ちしておりました。さ、こちらへ♪…あら?この方は?」
美空君に付いて行くと、女性の先輩が出迎えた。
食堂を通り抜けた時に、美空君に話しかけてた人だ。
「昼食を持って来ていないと言うから、一緒に食べる事にした。水無月、皿と箸の用意を…」
「あ、はい!かしこまりました!」
いいのかな…?
こんな豪華なお弁当、一緒に食べても…
美空君の向かいの席に座った俺の前に、手際良く並べられていく皿と箸…
そして、沢山の料理が綺麗に入った重箱…
確かに、これは美空君1人で食べきれる量じゃない。
「朔也様、お時間が残り20分しかありません。今は、食べる事に集中なさって下さい」
残り20分…
あれだけ混んでいたのに、食堂内には俺と美空君達3人しかいなかった。
それから先は…予鈴が鳴るまで、ただひたすら食べていた記憶しかない…