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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

丁寧な口調とは裏腹に、高木先輩の声は低く怒りが込められていた。

言葉を発する事が出来ずに、ただ頷く事で返事をする。

口が高木先輩の右手で塞がれているだけで、決してびびっている訳じゃない。

「……高木、俺の配慮が足りなかった。(とが)めは俺が引き受けるから、桐生を責めないでくれ」

「御意」

ぎょ…い…?言葉の意味は分からないけど、俺の口を塞いでいた高木先輩の右手が離れていった。

「ちょっ……!?」


『ちょっと、待って』と美空君に言おうとしたのに、高木先輩からの冷たい視線に固まってしまった。

怖い…怖すぎるよ、この人…何で、こんなに敵意剥き出しなんだよ…

「……桐生、(とが)めの事なら気にしなくていい」

「う…、うん」

ごめんね、美空君…俺が今、気にしてるのはそこじゃない…

「大和!邪魔したら、駄目じゃないか!何やってんの、もう!」

急に聞こえた大きな声に振り返ると、クリアさんがいた。


両手を腰にあてて、まるで子供相手のように高木先輩を叱る。

「邪魔など、しておりません」

「してなくても、邪魔になってるの!東屋に、戻るよ。ほら、おいで」

クリアさんが手招きして呼ぶと、高木先輩は美空君に一礼して歩き出した。

必然的にクリアさんの前にいる俺の横を通る事になる高木先輩は、一瞬だけ俺を睨み付けて通って行く。

被害妄想でも何でもなく、確実に睨まれた…

「……待て。俺達は、部屋に戻る」


クリアさん達を呼び止めた美空君が、俺の左腕を掴んだ。

「かしこまりました。大和、楓ちゃんを呼んできて」

「はい」

高木先輩の背中を押して送り出したクリアさんが、俺の顔を見て困ったように笑った。

「……?何か、あったのか?」

不思議そうに問いかけてくる美空君に、俺も困ったような笑みを返してしまう。

さっき高木先輩が俺を睨んだ時、俺と向かい合っていた美空君には高木先輩の表情は見えなかったんだろう。


俺の斜め後ろにいて高木先輩に声をかけたクリアさんは、当然俺と同じ方向を向いてた訳で…

図らずもあの睨みを見てしまったが故に、俺に対して困ったように笑ったんだ。

「いえ、何でもありませんよ。お部屋に着いたら、大和を連れて道場に行きます。人払いもしておきますから、お2人はごゆっくりお話をなさって下さいませ」

「あ、あの…ありがとうございます」

お礼を言うと、そっと頭を撫でられた。

「どういたしまして」

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