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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

【クリアside】


「病気でないのであれば、わざわざ話を止めるな。私は忙しい時間を割いて、このような茶番に付き合ってやっておるのだ」

相変わらず出てくる言葉は、人の心配より自分の都合か…

《他人に対する思いやり》なんていう、まるで小学校の学級目標のようなモノが…この人は勿論、朔也様の父親である御前様にも欠けている。

その欠けたモノをどうして朔也様が持って産まれたのか、その原因は考えるまでもない。


母親にあたる奥方様が、思いやりのかたまりのような御方だったからだ。

婚姻自体は、両家の政略結婚だったらしい。

見合いの席で初めて顔を合わせ数度会って、4ヶ月後には結納という手早さだ。

結婚を急いだのには、それなりの理由がある。

1つは、奥方様が病弱だった事…

奥方様の実家には娘が2人いたけど、姉の方は既に嫁に行っていた。

美空家との繋がりを今までより強くしたいと考え、その妹に白羽の矢を立てた。


子供を産むなんていう大仕事に、娘の命が耐えられないと知りながら…

主治医となった僕の父親が救おうと尽力したけど、力及ばず還らぬ人となってしまった。

2つは、美空家の跡取り問題…

現当主である美空(みそら) 隆臣(たかおみ)は、現在52歳。

ご子息の朔也様が13歳という事から単純に逆算して、38歳で奥方様と結婚した事になる。

御前様を当主に据える時点で問題となったのが、跡継ぎの不在という事だ。


分家の親類縁者から『跡継ぎのいない当主など認めん』『2年以内に跡継ぎが出来なければ、こちらから次期当主を推挙させてもらう』と言われ、焦りに焦りまくった本家連中が御前様の見合い話を取り付けた。

見合いをされてから死別されるまで、その間わずか1年半…

愛情というモノが芽生えていたのかは、今となっては御前様にしか分からない。

だけど…御前様が当主になる為だけに、結婚して子供を作ったとは思いたくない。


奥方様の優しさに、屋敷中の者達が癒された。

《清廉》《清楚》そんな言葉が、何よりも似合う女性だった。

花を愛で、花壇を造り…その花壇は現在、ご子息の朔也様が管理し手入れをされている。

その朔也様へと視線を向ければ、表情は変わらないまでも桐生君を見詰める瞳が心配そうに揺らいでいた。

「朔也様、大丈夫ですよ。お話を、続けて下さい」

安心させるように話しかけて、手拭いと団扇(うちわ)を受け取った。

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