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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

重苦しく感じる空気が、全身にのしかかってくるようにすら思える。

『はっきりと言え』って言われたからって、あんまりにもはっきり言えちゃったクリアさんが凄すぎる…

「信用は、しておるぞ。だが…いずれは、この家の家督を継ぐ者…どこへ出しても恥ずかしくないよう、今の内から(しつけ)ておかなければならぬのじゃよ」

躾で、孫の友人関係に口出しするの?

言い訳するにしても、もうちょっと別の言葉なかったのかな…


静まり返った部屋の中で、何分が経っただろうか…

いや…長く感じるだけで、数秒も経ってないかもしれない。

暑さのせいなのか緊張のせいなのか、一筋の汗がこめかみを伝っていく。

そんな沈黙を打ち消したのは、お爺さんの隣に座っている美空君だった。

「……お祖父様、お気遣いありがとうございます。その事で…少しの間、俺と話をして頂けないでしょうか?」

そう言いながら美空君は、立ち上がって移動を開始する。


どこへ行くのかと思っていると、斜向かいに座っているクリアさんに何か耳打ちして…

今度は、クリアさんが美空君の元いた場所に移動した。

状況的には、さっきまでテーブルを挟んでお爺さんとクリアさんが向かい合ってたけど…今は、お爺さんと美空君が向かい合ってる。

それで…こっちも、さっきまで美空君と向かい合ってたけど…今は、クリアさんと向かい合ってる。

わざわざ座り直してまで、改まって何を話すつもりなの?


「お主は、先程から何をやっとるのじゃ。話をするのでは、なかったのか?」

「……しますよ。ただ…隣にいては、お祖父様の表情がよく見えないものですから…」

美空君が移動してる時に多少和らいだ空気が、また重くなって全身にまとわりついてきた。

「桐生君、すごく汗かいてるね…楓ちゃん、手拭い濡らして持ってきて。あ、それと団扇(うちわ)もね」

「かしこまりました」

大丈夫と言おうとしたのに、言えなかった。


おかしいな…俺、持病なんてなかったはずなのに…

「先程から、何じゃ…話が、全く進まんではないか」

お爺さんからの文句に、全然悪くないクリアさんが謝ってくれた。

「申し訳ございません。診たところ、緊張による一時的な体温上昇。それに伴う発汗作用が、原因と思われます。病の類いでは一切ございませんので、どうかご安心下さいませ」

迷惑かけないように頑張ろうって決めたのに、結局クリアさんの迷惑になってる…

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