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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

ーー午前8時20分…


既に朝食の準備が整った座敷に通され、用意された座布団の上に座った。

まだ、お祖父様のお姿はない。

向かいに座った桐生が、緊張のせいか今にも泣き出しそうで…

「……桐生…そんなに、かしこまらなくていい。膝も崩して、楽にしてくれ」

ずっと正座したままで1時間近く座っているのは、慣れていない者にとっては苦痛だろう。

「あ、ありがとう…」

俺に礼を言って、ゆっくりと膝を崩していく。


緊張は解けないまでも、桐生の表情が和らいだ事に安堵した。

それから程なくして、廊下にいる従者2人の視線が動く。

「ご隠居様が、お見えになられました」

高木の言葉を受けて、その場の空気が一瞬で張り詰めた。

「美空君…やっぱり、正座した方がいいよね…?」

座り直そうと腰を上げた桐生に、俺は首を横に振る事で制した。

「……そのままで、構わない。お前は、お祖父様の客人ではないんだ。堂々と、していろ」


言いながら、お祖父様を出迎える為に立ち上がる。

屋敷の外廊下へ出るには、下座に座る桐生の横を通る事になる。

案の定、俺の行動を見た桐生も立ち上がろうとしたが…

「座ってなさい。朔也様が言われた通り、君はご隠居様の客人ではないんだから…出迎える必要はないよ。視線だけ向けて、会釈するだけでいいから」

桐生の隣に座っているクリアが、事細かに説明をしてくれた。

心の中で感謝の意を述べて、外廊下に出た。


「珍しい事もあるものだ。朔也、お主が先に来て待っているなど何年振りかのぅ……そのような顔をするでない。折角の朝食が、不味くなるわ」

昨日の晩に自分が桐生にしようとした事を棚に上げて、よくもそんな事が言えたものだな…

「……お気になさらないで下さい。朝食の準備は、既に整っております。話は、食べながらに致しましょう」

お祖父様は俺を一瞥(いちべつ)した後、座ったままのクリアと桐生へ視線を巡らせる。


2人は、顔だけをお祖父様へ向けて会釈をした。

「ふん…それが、お主の出した答えという事か…クリアよ」

問いかけたお祖父様に視線を合わせず、クリアは俺を見る。

「はい。僕は、もう迷いません。僕にとって、何が1番大切か…それが、やっと分かりましたから」

臆面もなく告げられた言葉に、言われた俺の方が恥ずかしくなった。

それを気にせず、お祖父様は座敷の上座へ歩いて行く。

俺も従って、自分の席に向かった。

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