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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

そのような言葉が、聞きたい訳じゃない。

俺は、何をやっているのか…

我が儘を言って、使用人を困らせて…

これでは、嫌っている父親と同じではないか…

「美空君…戻って来ないから、心配したよ。何か、あった?」

声が聞こえてきた方へ振り返ると、桐生がこちらへ近付いて来ていた。

俺の中にあるこんな醜い感情を、桐生にだけは知られたくない。

何かを言わなければ、不審に思われてしまう。

どうすれば、誤魔化せる?


「……あ…えっと、クリアが『喧嘩を売る』らしい…」

「朔也様…もう少し、言葉を付け足して下さいよ…たったそれだけじゃ、意味が分かりませんって…」

俺の言った事に、当事者であるクリア本人から抗議された。

咄嗟(とっさ)に思い付いた言い訳に、そんな高度な技術を求められても困る。

「『喧嘩』って、どういう事ですか?もしかして、それで悩んでたとかですか?」

ここにいる4人の視線が、クリアに集中する。


クリアの迷いのないグレーの瞳は、真っ直ぐに俺を見詰めている。

「さっきまではね…『悩んでた』よ。でも、僕はもう決めた。ご隠居様が力付くで来るなら、それ以上の力で叩き伏せればいい。なまじ権力があるせいで、何をやっても許されると思ってる。ああいうタイプは、自分の手駒が無くならないと愚かさに気付かないんだよ。久々に、暴れまくってやる」

『喧嘩を売る』=お祖父様の『手駒』を、1人残らず潰すという事か…


しかし…クリアがどれ程強くても、向こうの人数も分からないのに無謀すぎる。

「クリア様、お待ち下さい。そのような事、私は承服致しかねます」

高木の申し立てに、水無月も同意する。

「私も、承服出来ません。ご隠居様の護衛は、この屋敷1番の手練れ…あなた様お1人では、闘う前から結果が見えております」

……何も、そこまで言わなくても…だが、《当を得た※》意見だとは思う。

【※当を得た:道理にかなっている】


俺から視線を外したクリアは、異議を唱えた2人にその視線を向けた。

「随分、はっきり言うね。でもさ…『1人』で闘うつもりは、もうないよ。お前達が、僕に力を貸してくれるんでしょ?……って、何でそこで固まるの!?その為に、あんな説得したんじゃないの!?」

動きを止めた高木と水無月の顔の前で手をひらつかせながら、焦りを含んだ声を出している。

「……ッ…!申し訳、ございません…正直、これ程上手くいくとは…」

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