表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
116/143

《中学1年生編》

【朔也side】


「……『頼み事』?」

俺を見詰めるクリアの瞳が、30分前とは違う色をしているように見えた。

この短い間に、一体何があった…?

「はい。僕は今から、ご隠居様に喧嘩を吹っ掛けます。あなたを、守る為に…そして、僕自身の《矜持※》の為に…」

【※《矜持(きょうじ)》:自分の能力を、優れたものとして誇る気持ち。】

お祖父様に…喧嘩を…?

俺を、守る為に…?

どうして、俺なんかを守るんだ…


何をするつもりか分からないが、そんな事をして無事で済む訳が…

「……やめろ…俺なんかの為に、お前が危ない橋を渡る必要などない。俺は、もう…誰かを犠牲にして、自分だけが生きていくなんてしたくはないんだ…」

それでなくとも、俺の従者でもないクリアが俺を守る必要はない。

「クリア様!あなたは、まだそのような事を……ッ!?」

抗議の声を上げた高木が、言葉を詰まらせた。

言葉の途中で、クリアが振り返ったから…


自然と俺に背を向ける形となった為に、俺からクリアの表情は見えなくなる。

「この計画を僕1人で実行したら、間違いなく社会的地位を剥奪されるだろうね。父さんへの言い訳とか、色々考えてたのに…決心、揺らいじゃったよ…お前達のおかげでね…」

決心が揺らいだ、という事は…

今は、『犠牲』になるつもりではない…?

与えられる情報が断片的過ぎて、頭が混乱している。

「高木先輩、説得に成功したんですね」


後ろの方から桐生の声がして振り向くと、安堵した表情で高木を見ていた。

言葉を聞く限り、何も知らなかったのは俺だけ…

いつも、俺だけ蚊帳の外…

「……『説得』とは、どういう意味だ?」

自分でも、驚く程の低い声が出た。

悲しみより、怒りの感情が心を支配していく。

俺の問いかけに、言葉を返したのは水無月だった。

「さ、朔也様…全てが終わり次第、ご報告しようと…」

終わった後の報告など、いらない!


「……ふざけるなッ!いつも…いつも事後報告で聞かされて、俺だけが何も知らない!お前達は、俺を何だと思っているんだッ!」

これでは、完全な八つ当たりとしか言えないな…

《問題が発生すれば使用人が解決に尽力した上で、それぞれの(あるじ)へ報告》

このような取り決めを、忠実に守る使用人に八つ当たりしている。

「あなた様は、私共の大切な御主人様でございます」

決まり文句ばかり並べる水無月を、睨み付けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ