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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

【大和side】


クリア様の肩を掴んでいる手を離し、改めて話を聞く意思を伝えた。

目を伏せ、しばらく何かを考えていたが…再び私と視線を合わせた時、その目には迷いはなかった。

「お前達は、このまま何事もなく終わると思うか?」

聞かれるまでもなく、終わる訳などない。

いや、私が終わらせない。

「思いません。こちらの動向は、ご隠居様にとって予測の範囲内でしょう…それともう1つ、気になる事が……」


「第3段階の事ね…私も、気になっていたわ…今度は、どんな無理難題を出されるのかしら?」

第1段階は、桐生様への質疑応答…第2段階では、桐生様の身代わりに楓が囚われ私も負傷した。

ご隠居様の手の者達が桐生様に直接手出し出来なかったのは、護衛としてクリア様が守ってくれたからに他ならない。

「昨日の1件は、ご隠居様からすれば失敗した事になる。その原因を作った者を、ご隠居様は決してお許しにならないだろうね」


『その原因を作った者』とは、クリア様自身ではないか…

自分の事をまるで他人事のように、軽く言ってのけるクリア様に違和感を覚えた。

今までにも何度か感じた感覚がどこから来るのか、どう対処すべきかも熟知している。

「大和…クリア様のあの悪い癖、何とかならないの?」

癖…と言うより、すでに病気と言う方が正しいかもしれない。

クリア様を心配している楓が、不安げに私を見詰めてくる。

それに、頷いて…


「お1人で、自己完結をしないで下さい。大方…あなたが責任をとって、ご隠居様にお許しを請われる腹積もりでしょうが…朔也様が悲しまれると分かっている事を、私達がさせるとお思いですか?」

こちらには何も知らせず、自分が消える事で全てを終わらせようとしている。

あの、忌々しい《事件》の後も…周囲からの謂れのない怒りを一身に受け止め、朔也様と私達の前から勝手にいなくなった。

それと同じ事を、またやるのか…?


「消える事で大切な人が守れるなら、僕は喜んで消えるよ。元々、従者じゃないから…仕事の上では、お前達に何の支障もないだろ?……お願いだから、最後くらい格好つけさせてよ…」

最後…?冗談じゃない!

そんな事をさせたら、もう二度と…

「朔也様の笑顔を、諦めるのですか?」

私の問いに一瞬驚いた顔をして、それを隠すように私達に背を向けた。

「僕がいなくても、朔也様にはお前達がいる。桐生君も、いるから…」

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