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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

【クリアside】


普通、本人に面と向かって『怯えてる』とか言うもんかね…

「もし、そうだとして…桐生君は、何を知りたいのかな?僕の事なんて、君には関係ない事でしょ?放っといてよ」

君は、自分の事だけ考えてればいいんだよ。

「はい、関係ないです」

……ハッキリ、言うね…

「じゃあ、放っとい……」

「嫌です。自分を犠牲にしようとしてる人を放っとける程、俺は薄情には出来てませんので…」

何、この子…


お人好し通り越して、お節介かよ…

……僕も、人の事言えないけど…

「ご立派なご高説だけどさ、そういうのは朔也様に向けてのみ発揮してくれたらいいよ。僕は、誰にも止められないから…」

一度決めた事を簡単に覆したら、それはもう男じゃないでしょう。

正直に言えば、かなり『怯えてる』。

逃げ出せないように道場で寝泊まりまでして、決意を新たにしたっていうのに…

運命の神様は、どこまで僕を苦しめたら気が済むの?


「止めるつもりは、ありません。何をしようとしてるのかだけ、教えて下さい」

「知って、どうするの?」

君は朔也様の友達であって、僕の友達ではないでしょ?

……駄目だなぁ…卑屈になるなんて、僕らしくない。

これじゃ、昔の僕に逆戻りしてるよ…

「どうもしません。ただ…自己犠牲なんて、今時流行りませんよ」

「き……」

『君に、何が分かるの?』

そう言いかけて、言葉に詰まる。

堂々巡りになるだけだ。


「……?クリアさん、あなたは美空君の笑顔が見たいんじゃなかったんですか?あなたが犠牲になって、美空君が笑うと思いますか?」

眼光鋭く僕を睨み付けてくる桐生君は、的確に僕の弱点を突いてきた。

「…………………」

朔也様の事を持ち出されると、返す言葉も見付からない。

甘い花の匂いがして、僕の脳裏にかつての思い出が蘇る。

ーーーー………

幼い朔也様が、嬉しそうに菩提樹へ駆けて行く。

そして、振り返り…


『クリア、みて!おかあさまのはなが、さいたよ!らいねんも、いっしょにみようね。やくそく』

そう言って差し出された右手の小指を、僕の小指で確かに繋いだのに…

ーーーー………

その約束は、果たせなかった…

卑屈になって、勝手な事ばかりして…僕は、朔也様を裏切ったんだ…

「……クリア」

朔也様!?どうして…

「な、何でしょう?」

思わず、上擦った声が恥ずかしい。

「……もう、9年か…長かったな…」

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