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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

「……………」

言葉が、見付からない。

知りたいと言っておきながら、実際に聞いた途端…気の利いた事を、何一つ言えないなんて…

「お前……」

………?…まるで表情から、心を見透かすように見詰められている。

「何ですか?」

あまり、居心地の良いものではない。

「…………なんか、難しい事考えてない?僕は、聞かれたから答えただけだから。お前が、複雑に考えるもんじゃないし…今は、もう立ち直ってるんだからさ」


この人はもしかしたら、本当に心が読めるのではないだろうか…

今までも何度も思った事を、改めて思ってしまう。

普段通りのヘラヘラとした笑顔に戻ったクリア様は、私に背を向けて歩き出した。

「どちらへ、行かれるのですか?」

この道場の出入口は、1つしかない。

そして…その唯一の出入口の所に、自分は立っている。

外に出るつもりなら、私の方へ歩いて来なければおかしい。

「ん~?ここに、泊まるんだよ」


…………今、この人は何と言った?

『ここ』は、道場だ。

柔道用の畳はあるが、布団などは当然ある訳ない。

人が泊まるような、場所ではない。

「ふざけないで下さい。部屋は、用意しているでしょう。なぜ、そちらで寝ないのです?誰だって、畳より布団の方が寝やすいのでは…?そもそも『ここ』の畳は、寝る為の物ではなく柔道という競技を行う為の……聞いておられますか?」

話の最中に、欠伸をしながら畳を持ってくる。


こうなったらもう、言うだけ無駄だ。

朔也様を巻き込まなければ、この人がどこで何をしようがどうでもいい。

私が、クリア様の心配するなど…ありえない。

「聞いてる、聞いてる。そんな事より、もう2時過ぎてるよ。丑三つ時だよ~。怖くて部屋まで戻れないなら、連れて行ってやろうか?それとも、ここで一緒に寝る?」

おどけて見せるクリア様に、苛つきが増幅していく。

先程までの…真面目な顔をしたあなたは、どこに消えた!


「結構です!もう、勝手になさって下さい!」

苛つきの原因は、分かっている。

いつまで経っても、クリア様は私を子供扱いする。

話をしていてもすぐに茶化されるのは、1人前だと認められていないからだ。

「……ごめんね…僕って、こういう性格だからさ…許してよ。今日はね、どうしてもここで寝たいんだ………迷惑だけは、絶対かけないから…」

やはり、その理由を言わない。

追求を諦めて、道場を後にした。

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