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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

【大和side】


『羨ましい』…?

考えている内容について聞いたら、そんな返事が返ってきた。

いきなりそう言われて、戸惑わない人間などいないだろう。

「何の話を、なさっているのです?私は、何を考えているのかと尋ねただけですが…」

「うん、だからお前の事」

さも当然のように断言されても、私の頭の中は更に混乱するばかりだ。

クリア様の表情は、嘘を言っているようには見えない。

だから余計に、困惑する。


「それは、先程『もっと、強くなりたい』と言っていた事と関係がありますか?」

武術では既に右に出る者がいない程強いのに、それ以上強くなってどうすると言うのか…

「まぁ、関係はあるけど…あ、僕がそう言ってたのは…身体的な事じゃなくて、メンタル面での事だよ」

話を要約すると、私はクリア様にメンタルが強いと思われている…?

「つまり…私のメンタルが強いから、羨ましいと?私を見て、なぜそう思うのです?」


そんなもの、強い訳がない。

空手部に入るだけでも、どれ程の葛藤があったか…

クリア様からの助言がなければ、私は今でも悩んで決断出来ずにいただろう。

そうだ…私が悩んだ時には、クリア様が相談に乗ってくれた。

では、クリア様には…?

おそらく、クリア様の相談に乗ってくれる人はいなかった。

そのような人が1人でも、当時のクリア様の傍にいれば……

だからこその、『羨ましい』か…

「分かったみたいだね」


わずかな表情の変化を、的確に見極めてくる。

相変わらずの洞察力の鋭さに、素直に感心してしまう。

「はい…あなたは自分に相談出来る相手がいなかったから、誰かにとっての相談相手に自分がなろうとされたのですね」

その『誰か』の心が、自分と同じように壊れてしまわない為に…

「ご名答。察してくれて、嬉しいよ。おかげで、説明する手間が省けた」

察してもらう為に、わざと回りくどい言い方をしていたくせに…


「白々しい。よくも、まぁ…舌先三寸※でモノを言えますね」

【※舌先三寸:上辺だけの言葉で、うまく相手をあしらう事】

呆れたように言うと、クリア様は肩をすくめて自嘲気味に笑った。

「僕の言葉が白々しいと思えるのは、お前が本当の僕を知ってるからさ。大抵の人間は、言葉の表面通りにしか受け取らないもんだよ」

近しい人間や親しい人間ならば、言葉の裏を読む事など容易い。

それは、その人の性格を知っているから…

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