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~絆~大切なモノ  作者: 裕加
第2章 親友との出会い
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《中学1年生編》

「桐生君、他に聞きたい事はないのかい?何でも、答えるよ」

昔の自分を知られるのは少し恥ずかしいけど、知りたいと思ってもらえた事が嬉しかった。

声をかけた僕の方へ振り向いた桐生君は、どこか嬉しそうに見えた。

僕の、希望的観測かもしれないけど…

「あ、ありがとうございます。えっと…『不良になった』って言ってましたけど、今の姿からは想像出来なくて…その…」

『今の姿』…?

どういう意味、なのかな…


ちょっとの間考えて、自分の格好を見下ろしてから…はたと気付く。

……あぁ…桐生君の中では、不良=見た目の変化ってイメージなんだな。

「クスッ…見た目とかを、変えたりはしなかったよ。家出や無断外泊を、ちょっとね」

僕がそう言うと、桐生君は驚いた顔をした。

「え…?それだけ、ですか?」

桐生君がどんな不良像を頭に描いてるのか、大体分かってきたよ。

周りに言われるまで、僕自身不良だなんて思ってなかった。


「喫煙や飲酒はしていなくても、家出や無断外泊の時点で世間から見れば不良なんだよね。《大人の観点から見て、反抗的な言動をしたら不良》それが、世間一般の常識だから…」

一度貼られてしまった負のレッテルは、自分では取り外せないスティグマ(聖痕)※となる。

【※スティグマ:キリストが磔になった時に釘を打ち付けられた傷が、復活後も消えずに痕になっていた事から《聖痕》と呼ばれている。傷だから、自分で消せない】


「そんなの…悲しいです。何も、悪い事してないのに…」

犯罪を犯す以外にも、親に迷惑をかける=悪い事って考え方もあるけどね。

「そうだね。人は自分や世間一般とは違う考えの者を、異端として排除しようとする悲しい生き物だから…こればっかりは、仕方ないよ」

「……………」

俯いて黙り込んでしまった桐生君の肩を軽く叩いて微笑みかけると、泣きそうな顔をしながらもなんとか笑顔を返してくれた。


用事を済ませたり話をしたりで、時間を忘れていた事に気付く。

腕時計を見ると、21時を回っていた。

「もう、こんな時間ですね。朔也様、桐生君…僕の話を聞いてくれて、ありがとうございました。お食事も終わったみたいですし、そろそろお部屋に戻って寝る準備をなさって下さい」

明日の朝は、ご隠居様との朝食が待っている。

その時に寝不足では、使わなきゃいけない頭も働かない。

「……分かった。桐生、俺の部屋で一緒に寝よう」

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