大ほのかちゃんは、か弱い!!
「なんやお前! ワシのカワイイ『メロンちゃん』に蹴りいれやがって、ただで済むとおもっとんのかコラァ!!」
大ほのかちゃん、赤ちゃん連れてたママにピットブルを嗾けていたおっさんにすごまれる。しかし……
「タダで済ますか! ボケー!!」
「なっ!?」
「有料じゃああ!! びた一文負からんぞーぉ!! 覚悟せいよおおおお!!」
「な……」
「オっオっおー!!?」
普段おしとかやな女子高生である大ほのかちゃんの喧嘩口上は、かなり有料であった。(すでにブチ切れてグレート化してます)
もうどっちがチンピラかわかりません。
(なんやこの女、デカいし……いやデカ怖いし、メッチャ怖いかも……)
大ほのかちゃんにすごまれ、これにはチンピラのおっさんも怪訝するのだが。
「ガゥウウウ!! ガルッウウウウ!!」
空気を読めないピットブル(メロンちゃん)がうなり声をあげ、大ほのかちゃんを威嚇してます。
「クックw ほらほら、お嬢ちゃん。早く謝らないとメロンちゃんに食い殺されるかもしれんぞーぉ? クックwクフフフフ……」
いやらしい笑み。だが……「あ、ヤベ!」
手綱が外れたのだ。
さっき、大ほのかちゃんがキックした時に壊れていたのかもしれない。
だから今ピットブル(メロンちゃん)は制約から解放され、本能のまま大ほのかちゃんに襲い掛かった。
敵を食いちぎる気満々であった。
「ガッルルルルっ!!」
しかし!!
「エテ公がっ……」
迎え撃つ、グレート大ほのかちゃん。
まったく、ひるんでません。
『普通ならこの時点で気づくべきでした。けれどメロンちゃんは、所詮ペットに身を落とした偽物の獣。だから、本物である大ほのかちゃんのことに気づかなかったのです。』
「ガアアアア!!」
牙をむき出し、飛び掛かります。
しかし次の瞬間!
「ガルッウ!?」
ジャンプの際突き出したメロンちゃんの両前足が大ほのかちゃんに掴み取られたのです。
「ガッ!!」
ならば容易いと、自分の前足を掴んだこの腕に嚙みつけばいいのですが、そうはいきませんでいた。
なぜなら、大ほのかちゃん、前足を掴んだメロンちゃんを大車輪回転させたからです。
「ッガア……」
強力な大車輪の遠心力に回されるメロンちゃんは首をのけぞらせるしかありません。
その挙句……
「イッケーぇっ!!」
大ほのかちゃんに腕を離され、天空に発射されたメロンちゃん。
十数メートルは上空に放り上げられました。
体操選手の心身宙返りのように全身をピンっと伸ばした状態でクルクルとすごい勢いで回転し、やがて頂点に達すると放物線を描いて落下します。
「ざっ・バーン!!」
公園の池に頭から落下したメロンちゃん。
やがて水面に浮かんできたけどピクリとも動かない。
どうやら失神したらしい。
「あーっ!! ワシのカワイイ『メロンちゃん』がぁあああ!!」
「黙れーっ!! なにがメロンちゃんだーっ!!!」
「ひぇ?」
「あんな丸焼き前に全身の毛を毟られた食材みたいなキモい犬! あんなん『ハゲぽんた』で上等だあああああ!!」
「は、はげ、ぽん……」
もはや大ほのかちゃん、何にキレてるかもわからなくなる。
「……チッ、もう知るかよ」
と小物感丸出しの捨て台詞を吐いてその場を去るおっさん。
メロ……ハゲぽんたはどうやら見捨てられた様子。
所詮自分の代わりに他人を威嚇するためだけの道具に過ぎなかった。ということだろう。
ほんと、どうしようもないヤツが増えたもんだ。
ハゲぽんたぁああああああ