か弱い大ほのかちゃん2
二人は校外マラソン中、女性の悲鳴と獣の咆哮を聞いた。
「ほのか!?」
大ほのかちゃんは反射的にその悲鳴のもとに駆け付けようとダッシュした。
遅れながらネコネちゃんも追いかける。
そこは池もあるような大公園。
今時の公園は周囲からの目線を隠す雑木もない。だからその現場もすぐに確認できた。
さっきまで息を切らしていた大ほのかちゃんだったが、今はすごいスピードで駆け出し、垣根の石壁を踏み台にして大ジャンプ。
その現場、赤ちゃんを抱えて脅えるお母さんと、その二人に襲い掛からんとする犬 (狂暴なピットブル)に急接近していく。
「ガルっ!! ガァアア!!」
「いや! いやぁ……」
「ハハハッッハ!」
笑ったのはピットブルの飼い主。
「赤ん坊を餌と間違えたんかなぁ……ハーハハハアッハハアハハ!!」
なにがそんなに楽しいのか、高笑いするチンピラみたいなおっさん。
「いやぁ、助けてー!! この子だけでも助けて、助けてぇ……」
赤ん坊を抱きしめながら腰を落とし、哀願するお母さん。(赤ちゃんとお揃いのヒラヒラ衣装でカワイイ)
大の大人が子連れ母子を獰猛な動物で襲う、なんて……
一昔前ならこんな状況ありえなかったけど、どうやら今は世紀末以上の末世らしい。
「ガァアアゥッ!! ガッぅガッぅ!!」
獰猛なピットブル。
「ガガァアアア!! ガガガ……キュぃーーン!!」
『?』
咆哮してた犬、悲鳴を上げ、突然宙を舞った。
その場の全員が状況不明。
だが、そこには、男性用28cmシューズを振り上げた片足立ちの大ほのかちゃんの雄姿。
昔、16文キックを必殺技に使っていたプロレスラーがいた。
今の大ほのかちゃんは28センチキックを必殺技にする……え? この娘何者?(今更)
「なんだテメーは!?」
「黙れチンピラ!!」
「ん……だと……」
「私は、悪を討つ!!」
ピットブルを蹴飛ばした大ほのかちゃん、もう勝負は避けられません。