名前は大事
よろしくお願いいたします
(ノの字さんからの転載です。ちょっと改稿してます)
夕方……
放課後の通学路。
帰宅部のみんなが帰還する。
そのなか、主人公である大ほのかちゃんは、一人で住宅街内の帰宅路を進んでいた。
しゃなりしゃなりとしながら凛とした佇まいの歩み。最近風の長めのスカート裾もほとんど揺れません。
彼女、一見、乙女です。(しかし?)
ロングヘアに編み込みの飾り髪とか手入れが結構大変でしょうに、でもキチンとしてるんです。
まるでどこぞのお嬢様なのです。(だが!)
(ネコネちゃん大丈夫かなぁ?)
それは友達のネコネちゃんが一人職員室に呼び出されたからです。
『大丈夫だから先に帰ってて』と言われましたが。
かなり賑やかな子なので『なにかやらかした』のでは、と大ほのかちゃんも心配していたのです。
(小学生からの幼馴染だけど結構じゃじゃ馬なのよね彼女……ふぅ)
高校生になった今も心配が絶えない。
(昔はいじめられっ子だったのにいつのまにか乱暴者に……)
憂鬱な気分。
(そういえば彼女、小6の時身長160あったもんね。だからなのかしら?)
そういう年頃は女の子のほうが身体が大きかったりする。そのせいでチビな男子に復讐とか考えて乱暴者に……
(まぁ、ないか。だってネコネちゃん優しいから)
それは断言できた。
だってあの子を親友だと信じてるから。
「おーい! 大ほのかちゃーん!!」
憂鬱な感傷を吹き飛ばすような軽やかな声掛けに、大ほのかちゃんはビクンとなった。
「ネコネちゃん!?」
と驚愕するのも無理はない職員室に呼ばれたはずのネコネちゃんが背後から声をかけてきたのだ。
ネコネちゃん。
それはポニーテールが印象的な可愛い女の子。というかポニーテールがスポーティでカッコいいな、の女の子。テニスガール(もしくは女剣士)みたいな印象の子です。少々尖り気味な目筋と顎が凛々しいのです。
そんな彼女が小走りで、ポニーテールをピコピコさせながらニコニコしながら近づいてきます。(かわいい)
「大ほのかちゃん、一緒に帰ろ」
「……」
「ん?」
「……」
だが親友の呼びかけを華麗にスルーする大ほのかちゃん。
「どったの? 大ほのかちゃん?」
「大……ってなに?」
「え? 敬称ですよ? グレートとか?」
「言わないでっていってるよね!?」
「だから敬称だってば、さあ」
「じゃあ、私もネコネちゃんのことニャーンちゃんって呼ぶね」
「カッ……っ」
実はネコネちゃんの本名『鈴木猫音』という立派なDQNネームだったのだ。
「ニャーンちゃん、今日も可愛いねえ」
「……すんませんでした」
彼女にもそれは立派な負い目だった。首を垂れるしかない。
「わかればよろしい。で? 呼び出しは大丈夫だったの?」
呼び出しの件を聞いてみる。解放の早さからして何もなかったと思うのだが。
「ああ、安定の鈴木間違いだった」
ありふれた名前ゆえのいつもの間違いだったようだ。
「そっか……」
安心した大ほのかちゃんだったが……突然、気配が変わる。
「あ! あれ! ほのか!?」
「うん。わかってる」
前方から近寄ってくるトレンチコート姿の男。
それに警戒したネコネちゃんと大ほのかちゃん。
だってその男、季節外れのトレンチコートだし何よりその裾から靴下が丸見え状態。それって絶対ズボン履いてない!
そんなヤツがずんずん近づいてくる。
「ほのか……」
「大丈夫だよ」
怯えるネコネちゃん。
大ほのかちゃんは唇を噛み締める。
それは女子高生なら一度は体験する絶体絶命の状況。
いかに!?
ピンチ!!