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第三話:勇者パーティー就任、魔王と魔族と人間

勇者パーティーに入ってくれと言われ、オレは混乱した。だって、あの勇者パーティーだ。圧倒的な知名度を持つ"勇者"の仲間。そんな人間たちの中に、オレが入っても、良いのか……?

「もちろん君との約束も、君の安全も、君の母親の安全も確保する方法を教えるよ。だからどうか入ってくれないか?」

オレは、わからなかったどうして、イアンがオレを選ぶのか。理解できなかった。何故かって"パーティー"とは、戦闘においてお互いを補完し合える関係であるはずだ。

「なんでオレを選ぶんだ。オレもあんたも弓使いなんだぞ?」

「まあ、"パーティー"を組むなら普通はしない組み合わせだね。でも俺は君が良いんだよ、レネード。"お願い"だ」

なんだかイアンが眩しく見える。それに勇者だからか顔も良い。そんな奴にこんなことを言われたら……オレは、断れない。我ながら、オレはなんて簡単なヤツなんだろうとオレはオレに呆れる。

(そういやアイツもよくオレに"お願い"してきたっけな)

こんな時にまで出てくるこの思考についてはもうなにもツッコまない。

「分かったよ、勇者サマ。あんたのパーティーに加わる。だからさ、オレと、オレの母さんをちゃんと助けてくれよ」

覚悟を決めよう。どんな面倒事が待っているか予想もつかないが、未来よ、なるようになってくれ。

「この勇者イアンの名と誇りに誓って、君たちを救うと約束するよ。よろしく、狩人改め勇者パーティーの弓使い、レネード」

「あぁ、よろしくな」

オレとイアンは握手を交わす。

「さてと、無事パーティーに入ってくれるわけだしまずはどうすればその組織を倒せるか話そう、と思ったんだけど……現地近くじゃないと作戦を立てるのは難しい。というわけでしばらくは君の能力強化兼勇者の務めを果たすところかな」

まあ城攻めとなるなら実際に現地に行かないと戦略を立てにくいのはもっともだ。となると確かにしばらくは己を強化しつつ、勇者パーティーの一員として活動することになるだろう。それは分かるが……

「勇者の務めとはなんだ?人助けか?」

「それももちろんあるんだけど……それについて話すなら、魔王と魔族とかについての説明をしないとね。できる限り簡潔にまとめるけど、まあ気軽に聞いてて。」

そうしてイアンにしてもらった話によると

[魔王について]

・魔王は人間誕生と共に出現した魔族の長。世代交代はなし

・魔王とは世界の魔力の根源。魔力を生成し、魔力を溜める性質がある

・魔王が溜めれる魔力量と魔力の精製量は時が経つごとに増加するが、常に精製量が少し上回っており、魔力を溜めれなくなると暴発させる

[魔物について]

・魔王の魔力から生まれ、自我を持った魔族

・魔王の魔力から生まれるため、生きるための要素も魔力のみ。食を必要としない。しかし五感があり、突出したものがなければ大体人間と同じ感覚

・魔王の魔力暴発に呼応して暴力的になる

・戦闘不能になると魔王城に送還され、休息を取る

[魔者(まじゃ)について]

・魔族の幹部。魔王には劣るが圧倒的な力を持っている

・主に魔王が管轄する領土の管理、そこの魔物の監督と統率を行う

・生態としては魔物と同じ。比べて寿命が長く、能力も高い。

・人間社会との交流も担当する。魔王の魔力暴発のタイミングも予見でき、人間に忠告と勇者出動の要請を行ったあと、静かに暴発を待つ

[魔獣について]

・魔王の魔力が固まってできた結晶に外皮がついた異物。自我はなく、無意味に無作為に生物を襲う、破壊衝動そのもの

・魔力暴発に呼応してより活動が活発になる

と、こんな感じらしい。言われただけでは理解できなかったため、イアンにメモをしてもらった。メモをオレに渡してイアンは続けて言う。

「つまり勇者の務めっていうのは見つけ次第魔獣を狩りつつ、魔物と魔者の送還のお手伝い&魔王管轄領土にすむ人たちを助けることかな」

そして驚きの一言をなんでもないようなことのようにぶっこんできた

「えっ、魔王の近くに人って住んでんのか!?」

「もちろん。なんなら人間の領土でも魔物たちと共存しているよ」

またまたトンデモ発言が出てきた。だがここでわかったことがある。

「やっぱり魔族と人間は敵同士ってわけじゃないんだな」

ガキの頃に読んでもらった絵本にも魔族が明確に敵であるような描写はなかった。絵本の最後も勇者と魔王は話し合いで仲良くなったって描いてあった。

(絵本はアイツと一緒に読んでいたな。二人で体をピッタリくっつけて、母さんに読み聞かせてもらってたっけ)

イアンの話と絵本の内容から、魔獣以外の魔族との戦いで殺しはしなくて済むんだろうと内心オレはホッとする。どうやらオレは数多の襲撃者たちを殺し続けてもなお、必要な殺しだったと言い訳したいらしい。

「そうだね。ただ魔族のほうがわかりやすく攻撃力のある力を持っているのは事実。つきあい方は大事だよ。人間も武器っていう攻撃力があるわけだし」

イアンはオレの弓矢を指してそう言った。さらにイアンは続けて言う。

「つまり俺たちが魔族と戦うには強力な武器がいるってことさ。だからまずは武器の強化をしよう」

強力な相手には強力な武器が必要なのは理解できる。オレはイアンの言葉に頷いた。

「わかった。なら、オレの武器はどう強化すればいい?」

オレがそうたずねると、イアンはまるでイタズラっ子のような顔でオレを見つめて言った。

「武器の強化をするなら重要なのは武器の元となる素材。ということでレネード、まずはダンジョン攻略だ!」

イアンの話した内容メモ

[魔王について]

・魔王は人間誕生と共に出現した魔族の長。世代交代はなし

・魔王とは世界の魔力の根源。魔力を生成し、魔力を溜める性質がある

・魔王が溜めれる魔力量と魔力の精製量は時が経つごとに増加するが、常に精製量が少し上回っており、魔力を溜めれなくなると暴発させる

[魔物について]

・魔王の魔力から生まれ、自我を持った魔族

・魔王の魔力から生まれるため、生きるための要素も魔力のみ。食を必要としない。しかし五感があり、突出したものがなければ大体人間と同じ感覚

・魔王の魔力暴発に呼応して暴力的になる

・戦闘不能になると魔王城に送還され、休息を取る

[魔者(まじゃ)について]

・魔族の幹部。魔王には劣るが圧倒的な力を持っている

・主に魔王が管轄する領土の管理、そこの魔物の監督と統率を行う

・生態としては魔物と同じ。比べて寿命が長く、能力も高い。

・人間社会との交流も担当する。魔王の魔力暴発のタイミングも予見でき、人間に忠告と勇者出動の要請を行ったあと、静かに暴発を待つ

[魔獣について]

・魔王の魔力が固まってできた結晶に外皮がついた異物。自我はなく、無意味に無作為に生物を襲う、破壊衝動そのもの


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