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ダンジョン攻略:前編

あれから数日。装備や物資を整えたり、限界まで魔力を鍛えたりと諸々の準備があったものの、特に問題なく完了し、ダンジョン前に連れてってもらった。

「改めて前に立つと緊張するな……」

「まー無理もないよ、初めての挑戦だもんね。でも大丈夫、魔法薬作りも苦労したけどちゃんとできてたし、魔具もあるでしょ?」

イアンが今回渡してくれた魔具は、前の“便利地図”ではなく、“風込刀”という魔具。使い切りで、【風魔法】に該当する魔法を事前に登録しておくことで即座にその魔法が出せるという優れものだ。今回は瞬時に身を守れるように『風盾』などの上位魔法、『風の防壁』を登録してもらった。まだ【風魔法】『風の盾』を『風盾』にできたばかりのオレには使えない魔法だったためイアンにやってもらったのだ。使える回数は5回、かなりの大盤振る舞いだが、ダンジョンはそれだけ厳しい場所なのだと改めて意識させられる。それでも、絶対に攻略してみせる。

(ここを乗り越えて、アイツに追いつく!)

「じゃあ、行ってくる」

「いってらっしゃい、気をつけて」

「ああ」

オレは意を決して弓矢を構えつつダンジョンに入ると、空間が断絶されたことが分かった。まずはすぐ目の前の状況を確認する。地面を覆うように群生している花が成っているツタと、前を見えづらくするためか霧が漂っている。花は事前に見えていた青い花(睡眠の状態異常を与えるもの)と、その危険性を示すかのように鮮やかな赤色の花があり、誤って刺激を与えたら何が起こるか分かったもんじゃない。未知に溢れたこの空間で生き抜けるかという不安は絶えないが、今は見えている危険である赤い花を避けつつ前へ進むことにしよう。霧のせいで視界は悪く目印にできそうなものもないが、イアンが言うにはこちらがあまり刺激しなければそのうちダンジョンから動きを見せるらしい。そうすると自ずと行き先も分かりやすくなるとか。イアンの言うことを信じて進み続けていると、霧の隙間から青色の子供のような魔獣(おそらくゴブリンの類)が歩いているのが見えた。

(先手必勝!)

ヒュンッ、ドスッ,ギャッ!?ドサッ……

どうやらうまく射ることができたようだ。周囲を確認して魔力結晶を拾い、先へ進む。先ほどの魔獣を見てわかったのは、1つはゴブリンがいること。つまり対集団戦が予想される(面倒な事この上ない)。おそらく先ほどのは偵察かつ、イアンが言っていたダンジョンが見せる動き、というものだろう。もう1つは、赤い花は魔獣おそらくゴブリンを呼び寄せる警報器のようなものだろう。呼び寄せてその後数が減るのならわざと踏むのもいいだろうが、ダンジョンは魔力の集合地帯、魔力でできてる魔獣の供給が尽きることはない、やはり避けるのが正解だ。矢を構え直して地面を逐一確認しながらまた魔獣が見つかるのを待ちつつ進む。しかししばらく経っても魔獣が出ず、流石に道を間違えたかと不安がよぎる。だが試しに後ろを振り返ってみるとすっかり濃霧に包まれていて、引き返せばもっと取り返しのつかなくなるであろうことが明白になった。

(それどころかだんだん周りの霧も濃くなっているような……まさか濃霧が迫ってきているのか?)

あれほど濃い霧に包まれたらいよいよどうしようもなくなってしまう。濃霧に追いつかれないよう早足で前へ進んでいく。しかし依然として霧は濃くなっていくばかりだ。

「っ、『疾風』」

速度強化の魔法をかけて霧を抜けるべく走り出す。もはや赤い花を踏まないように心がけるのは厳しい。どこから来ようと逃げ切ってみせると意気込み走るのを止めずにいると、赤い花を踏み抜いたのが分かった。地面からいきなりツタが伸び、脚を絡めようとしてくる。瞬間花粉のようなものが舞ったと思ったら、いきなりそこら中からさっきの魔獣が現れた。だが奴らにはツタに絡められた獲物(オレ)を見つけることはできず、そこにあるのは自らを縛り蠢くツタだけ。オレは既に50m先を駆け抜けていた。その後も、次々と赤い花が踏まれてはツタが伸びオレの脚を絡めようとするし、魔獣も次々と姿を見せるがオレに触れることすらできず、気づいた頃には到底追い付くことなどできないほどの距離、追いかけようとした魔獣の中には出現とタイミングが重なりぶつかった奴もいたようだ。後ろが少し騒がしくはあったもののオレの後を追ってくる気配もなく、赤い花を避ける余裕ができたところで『疾風』の効果時間が切れた。後ろから魔獣が追ってきていないのを確認し、全力疾走を止めて歩く。

(どうにか、撒くことができたようだな)

周囲を確認すると木が林立していて、赤い花のツタがそれに巻き付いていた。そのせいか地面にまんべんなく広がっていたツタが少なくなっているように見える。しかしその空きを埋めるように大きな紫色の花がポツポツと咲いているのが分かった。

(毒か。しかもかなり強そうな……)

更に悪いことに、先ほどの魔獣が現れた際に青い花の花粉が舞っていたことは知っている。おそらく赤以外の花は魔獣が刺激しても花粉を撒くのだろう。ボスの部屋にこれらの花があるとしたら相当厄介だ。毒で身体を蝕まれる前にボスを倒さなければいけないだろう。

(毒耐性も付けるべきだったか……)

後悔しても遅い。せめて道中は完璧に攻略しようと思いながら歩を進めた。

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