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第十話:五日目、モンスターラッシュ

ズキッ

(!っ……昨日の傷、少し痛むが……大丈夫そうだな)

しかし夜は本当に何も起こらなかった……いや、正確には魔獣がオレの荷物を掘り起こそうとしたりしたが簡単に倒せたしそれ以降何かが襲ってくることも無かった。ただ今この時に幸運だと、後に反動が来そうなのが怖い。今は幸運と今日の朝ごはんに感謝しつつ、油断せず動いていこう。

[目的地まで、およそ16時間です。地図の残り使用可能時間9時間です]

地図の魔力量を気にしつつ、また長い道のりを進む。少しすると動物の姿を見かける回数が増えた。巣や群れの集まりがそう遠くないところに複数ヶ所あるのかもしれない。

(念のために地図を見ておくか)

現在位置の確認も含めて一度地図を見直すと、そこには驚愕の事実があった。数キロ前には動物の巣と群れの集合地帯、更にその5キロほど先には魔獣の大量発生地帯、またその5キロ先には魔生物が多数生息するという、とんでもない事実だ。

(こんなの……どうすりゃいいんだよ!?)

だがどんなに絶望的であっても突破するしかない。

ーーーモンスターラッシュ突破作戦案ーーー

(仮称)動物エリア対策

刺激をせず、テリトリーを避け続けて突破する。所要時間はおよそ6時間。焦らずしっかり地図を見て進む。

ここで地図の残魔力量のほとんどを消費することになる予定。エリアを抜けたら1時間休憩。この間に昼食と自己強化と魔力の回復

(仮称)魔獣エリア対策

攻撃を魔法で防ぎつつ駆け抜ける。所要時間はおよそ15分。魔力配分に注意

エリアを抜けたら1時間休憩。自身の魔力回復と地図の魔力回復をする

(仮称)魔生物エリア対策

気配を消して慎重に進む。所要時間は最高6時間。地図を見るより周囲の状況による判断が大切。状態異常の解除を常に心がける

エリアを抜けたあとは寝る場所の確保

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大体の方針はこんな感じか。後はその時々でどうにかするしかない。

(アイツがいたらもっと楽に進めたんだろうか……無い物ねだりなんてしても無駄だろ、どんだけ未練がましいんだよオレは……目の前に集中しろ)

〜(仮称)動物エリア〜

(仮称)動物エリアに入った。動物たちを刺激しないように魔法での強化も走ることもせず、地図や動物の横断などをチラチラ見ながら気持ち早めに歩いていく。流石に多種の動物が集まっているだけあって穏やかな道中だが、いつ動物界の禁忌に触れてしまうか分からない。張り詰めすぎる必要はないが、自然への気づかいは必要だろう。

(しかし、歩いて進むとなるといつも以上に道のりが長く感じて退屈になると思っていたが……案外楽しいものだな。穏和な動物が多いことも助かる)

[目的地までおよそ15時間です。地図の使用可能時間は8時間30分です]

思いがけず、豊かさに包まれて進んでいく。

〜6時間後〜

「ふぅ、どうやら予想は的中したようだな」

動物を刺激することなく通り抜けれたことに安堵してひと息つき、今のうちに昼食と体力の回復、地図の暗記を始める。次は先ほどの穏やかな道中とは完全に反対の魔獣の巣窟、認識された瞬間に攻撃が来る場所だ。念入りに準備をして止まらずに駆け抜けなければ、間違いなく死が訪れるだろう。休憩を終えて(仮称)魔獣エリアの手前に来て、自己強化の魔法を唱える。

「『タフハート』『ウォークアップ』『風纏』【風魔法】『追い風』『疾風』【生活魔法】『漲る活力(オーバーフロー)』」

集中力を極限まで高めていく……

ドンッ!!

一筋の突風が闇の森林を駆け抜ける。気付いた魔獣共から次々と魔力の咆哮が飛び交うがそれらは全て空を切り、前を遮る奴は頭を踏んで、飛び込んで来た奴は薙ぎ倒して、ただひたすら前へ進む。

(駆け抜ける!!)

ヒュオオオ……

風が吹き抜け、静かな森の木の上で疲労しきった身体を休める。これからまだ歩かないといけないことを憂鬱に思うが、一難が去り心に余裕が少し生まれる。

(きっと大丈夫。それに、アイツはこの程度簡単に乗り越えられる。こんなところで終われない)

何度も言い聞かせてきたこの闘志を持って、最後の難所も突破してみせる。

[魔力結晶の吸収を確認。残り使用可能時間8時間。目的地までおよそ8時間です]

〜(仮称)魔生物エリア〜

ここで最も注意すべきは状態異常にさせる魔生物たちの性質。それをできるだけ避けつつ、いかに魔生物たちを刺激しないかが重要である。

「『風纏』」

魔生物たちはそもそも魔力に囲まれた生活をしているため、魔法やスキルの発生は刺激にならない。あとはこちらの耐性の問題と、状態異常解除の魔法薬をいつ飲むか、それを間違えないのが大事だ。歩きながら魔生物用のメモを再確認しつつ、魔生物の様子をうかがう。

魔生物の特徴

・動物とも魔獣とも違う、幻想的な様子で、“誘う”能力がある

・危険性は自身の想像以上

・魔生物の巣の近くで状態異常に囚われた行方不明者がいつもどこかにいるのが現状。中には抜け出せず、そのまま朽ちていく者がいても不思議ではなく、悪意があるわけではない分、逆に魔獣よりたちが悪い

・魔生物から採取できるものは魔力を帯びていて、様々な魔具に運用できる

観察すると上の方が比較的安全であることが分かり、枝から枝へと伝うように進んでいく。それでもやはり確実にオレを蝕んでいたらしく、ジワジワと感覚が麻痺し、眠気がオレを誘い、ジクジクとした痛みも訪れ、体力が削られていくのが分かる。脚は止めず、魔法薬を飲んでまた進む。それを合計3回繰り返し、(仮称)魔生物エリアを抜けることができた。さっさと寝る場所を見つけ、周囲の確認もほどほどに、木に登って眠りにつく。

(おやすみ)

作中に出てきた“モンスターラッシュ突破作戦案”と“魔生物の特徴”を記したメモの内容です。

ーーーモンスターラッシュ突破作戦案ーーー

(仮称)動物エリア対策

刺激をせず、テリトリーを避け続けて突破する。所要時間はおよそ6時間。焦らずしっかり地図を見て進む。

ここで地図の残魔力量のほとんどを消費することになる予定。エリアを抜けたら1時間休憩。この間に昼食と自己強化と魔力の回復

(仮称)魔獣エリア対策

攻撃を魔法で防ぎつつ駆け抜ける。所要時間はおよそ15分。魔力配分に注意

エリアを抜けたら1時間休憩。自身の魔力回復と地図の魔力回復をする

(仮称)魔生物エリア対策

気配を消して慎重に進む。所要時間は最高6時間。最も注意が必要なエリア。地図を見るより周囲の状況による判断が大切。状態異常の解除を常に心がける

エリアを抜けたあとは寝る場所の確保

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


魔生物の特徴

・動物とも魔獣とも違う、幻想的な様子で、“誘う”能力がある

・危険性は自身の想像以上

・魔生物の巣の近くで状態異常に囚われた行方不明者がいつもどこかにいるのが現状。中には抜け出せず、そのまま朽ちていく者がいても不思議ではなく、悪意があるわけではない分、魔獣よりたちが悪い


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