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マリーちゃんとペリドット~後編~

 暴力じゃない方法って……?


「真心……ですかね?」


 マリーちゃんが真剣な顔をしているね。


「真心……?」


「ペリドット様が、ずっと言っていた事です。権力よりも真心だって……」


「マリーちゃん……」


「ペリドット様……お願いだから……これ以上……危ない事はしないでください。ペリドット様に何かあったら……わたし……」


「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」


「クッキー屋さんのジャックを助けた時のペリドット様の辛そうな姿を見て……魔素を祓った時もすごく苦しかったんだろうって考えたら……わたし……申し訳なくて……ペリドット様が魔素から命がけで守ってくれたのに……まだわたし達はペリドット様を苦しめていて……」


「ありがとう」


「……え?」


「わたしは……人間達から忘れられても構わなかったの」


「命がけで魔素を祓ったのに……忘れられてもいいんですか?」


「わたしは英雄になりたかったんじゃないの。褒め称えられたかったわけでもない。ただ大切な誰かを守りたかっただけだから」


「……ペリドット様」


「わたしを……聖女ルゥを想ってくれてありがとう」


「ペリドット様……ずっとずっと忘れません。十年後も二十年後もずっと」


「ふふ。悲しそうにしないで? あと二か月しか一緒にいられないから……だから笑って欲しいよ。ね?」


「……はい。ペリドット様……?」


「……うん?」


「ずっとずっと幸せでいてください」


「……! うん……マリーちゃんもジャックとお幸せに」


「……あ……えへへ。はい」


「帰ったらすぐに結婚するの?」


「結婚!? あの……まだそこまでは……でも……ずっと一緒にいられたら嬉しいです」


「そっか。マリーちゃんはジャックの事が大好きなんだね」


「恥ずかしいです……でも……はい。大好き……です」


「ふふ。ドキドキしちゃうよ……」


「ペリドット様も国に帰ったら結婚するんですよね」


「あ……うん」


 そうだったね。

 二か月後に、騎士団長をしているって勘違いされているハデスと結婚する話になっていたんだった。

 ルゥの時に魔族の皆に、つがいになる宴を開いてもらったんだけど……


「結婚したら……どうなるんですか? 王太子殿下は弟さんなんですよね? 国から出て暮らすんですか? 今の王様はペリドット様の叔父さんなんですよね?」


「心配してくれているんだね。何も変わらないよ? お母様と婚約者とずっと一緒に国にいられるから」


「良かった……安心しました」


「王様も王妃様も本当の娘みたいに大切にしてくれるから。感謝しているよ」


「素敵な関係なんですね」


「……うん。わたしは……幸せだよ。今までもこれからもずっとずっとね」


「わたしも……」


「……え?」


「わたしもペリドット様みたいになりたいです」


「……!? え……? ど変態になりたいの?」


「え……? あはは! それも楽しそうですけど……毎日『幸せだ』って笑いながら暮らしたいです。ペリドット様は絶対に苦しかったはずなのに、辛かったはずなのに『幸せだ』って言っていて……それはペリドット様が毎日幸せになれるように頑張ってきたからなんですよね」


「マリーちゃん……」


 わたしはそんなに立派じゃないのに……

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