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マリーちゃんとペリドット~前編~

 アカデミーが終わってから、魔術科の皆と魔術の練習を始める。


 皆は昨日、公開処刑に行ったのかな?

 いつも通りの感じだけど……


「ペリドット様、体調は大丈夫ですか?」


 マリーちゃんが心配そうに尋ねてきたね。

 血を吐いてから会っていなかったからか……


「うん。ありがとう。すっかり元気になったよ。今朝クッキー屋さんのジャックに会ってきたの。しばらくは安静にしないといけないから、ずっとベットにいて暇なんだって」


「そうなんですね。ずっと心配で……あの、市場に行ったんですか?」


「うん。お惣菜屋さんのおばあさんと話してきたよ」


「……そうですか。皆さん落ち着いてましたか?」


「うん。マリーちゃんは……処刑の事でわたしを心配してくれているんだね」


「……はい。わたしとジャックは怖くて見に行けなくて……でも……」


「他のジャック達は行ったのかな?」


「土属性のジャックは行かなかったんですけど……」


「そう……」


「かなり興奮して出かけたんですけど……帰ってきたらすごく辛そうで」


「辛そう?」


「……相談役に言われたらしくて」


「え?」


「処刑で興奮したまま暴れたら、ペリドット様に迷惑がかかるから絶対にダメだって……」


「昨日の……」


「昨日の? まさか……見に行ったんですか!?」


「……うん」


「危ないですよ!? 皆かなり興奮してたんです。もし巻き込まれたら……」


「大丈夫だよ。時計台の上から見ていたから」


「……ペリドット様……わたし……怖かったんです。いつもは優しい皆が豹変したみたいに見えて……わたしとジャックは国で穏やかに暮らしていたから貴族に虐げられた事がなくて……でも、虐げられてきた皆は……」


「……うん。言いたい事は分かるよ。わたしもそうだから……虐げられてこなかったから……皆が今までどれだけ辛い思いをして過ごしてきたかをきちんと分かっていなかったの」


「でも……処刑から帰ってきたら……」


「帰ってきたら?」


「辛そうで……苦しそうで……でも……安心したような……」


「……? 安心?」


「ペリドット様を苦しませずに済んだって……悲しそうに笑ってました」


「悲しそうに……笑っていた……? 心が苦しいよ。ずっと抑圧されてきた皆を思うと……」


「……はい。わたしもです……わたしとジャックは卒業したら国に帰るんです。だから、今さえ我慢すればいいんです。でも、他の皆はこれからもずっと貴族から虐げられるかと思うと……」


「……そうだね」


「あの……処刑を見に行ったジャック達が言ってたんです。少しずつ何かが変わってきてるって」


「……え?」


「暴動が起きると思っていたらしいんです。でも……一人も暴れなかった。皆、真っ直ぐ家に帰ったって……暴力じゃなくて……他の方法で未来が変わろうとしているのかもしれません」


 他の方法で……?

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