やっぱりぺるみはオレを食べるつもりなんだ
今回はベリアルが主役です。
「……どうしてこうなった?」
デザートのモモのタルトを食べていたはずなのに……
いつの間にか、眠っているぺるみに抱っこされてるぞ?
こいつ……無意識にオレを敷物の上から空間移動させたのか?
寝ながらこんな事して、失敗したらオレの身体が二つに裂けちゃうだろ!
ぺるみは木陰で気持ち良さそうに寝てるけど……
こんなところをハデスに見られたら大変だ。
最近はドラゴンの赤ちゃんとか、タルタロスで色々あって忙しそうだよな。
今も見られていなくて助かった。
「ぐふふ。桃……桃ピヨ太郎……」
……?
モモピヨ……?
ぺるみはどんな夢を見てるんだ?
オレからモモの匂いがするからモモの夢を見てるのか?
「え? 吉備団子をくれるからお供になれって?」
キビダンゴ?
なんだ?
聞いた事がないな。
「ぐふふ。吉備団子はおいしいよね。でもわたしが食べたいのはヒヨコちゃんだよ」
……!?
ヒヨコが食べたい!?
やっぱりこいつはオレを食べるつもりなんだ……
「ぐふふ。お供になるからちょっと吸わせてよぉ。堪らないね……ぐふふ」
……何のお供だよ。
とにかく気持ち悪い。
寝ながら吸いついてきたぞ。
今すぐ逃げないと!
「ぐふふ。鬼もヒヨコちゃんだったんだね。くうぅ! 激かわだね。皆で仲良く暮らそう……ぐふふ。吸い放題だよ……どの子からいこうかな?」
……?
おにぎりもヒヨコちゃん?
そういえばさっきおにぎりを慌てて何個も食べていたよな……
しかもどの子からいくって……
どの子から食べるかって事か?
ぺるみはおにぎりが好き……
ぺるみはオレが好き……
ぺるみはオレを食べたい!?
やっぱりぺるみはオレを食べるつもりなんだ……
いつも言ってたよな……
オレを吸うとオレの身体の一部がぺるみの鼻から体内に吸い込まれるって……
こいつはオレを少しずつ食べようとしてるんだ……
怖いよ……
誰か助けてくれ……
あ、前の席のジャックがすぐ近くでアイスクリームを食べてるぞ。
「ジャック……助けてくれ……」
「え? ヒヨコ様? どうかしたんですか?」
「ぺるみがオレを食べようとしてるんだ」
「……え? あはは! 確かにヒヨコ様は食べちゃいたいくらいかわいいですからね」
「助けてくれ……食べられちゃうよ」
「あはは! 大丈夫ですよ」
「だって、ぺるみはおにぎりが好きだから、オレも食べられちゃうんだ」
「え? ちょっと分からないですけど……?」
「ぺるみはおにぎりを慌てて何個も食べるくらい好きなんだ! だからオレも食べられちゃうんだ!」
「……ん? そうなんですか? オレはてっきり……」
「てっきり?」
「ヒヨコ様はあの酸っぱい……ウメボシ? が苦手だから間違えてヒヨコ様が食べないように先に食べているんだと思ってました」
「……え? ぺるみが?」
オレがウメボシを嫌いな事は誰にも話してないのに。
大好きなばあちゃんが作ったウメボシが嫌いなんて絶対に言えないよ。




