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疲れた時にはベリアルを吸いたくなるよね

「……そう。お兄様は頑張っているんだね。わたしは……何も手伝えなくて心苦しいよ」


 本当は、近くで支えたいけど…… 

 それをしたらダメなんだよ。


「ペリドット様……陛下は感謝していたわ。ペリドット様のおかげで平民が暴動を起こさなかった。もし暴動が起きていたら平民の命を奪わなければいけなかったって」


 スウィートちゃんが優しく微笑みながら教えてくれたね。


「……お兄様が、そんな事を……」


「お互い感謝し合っているのね」


「……うん。そうみたいだね。じゃあスウィートちゃんはお城にお泊まりだったんだね」


「ええ。陛下は忙しくて少ししか会えなかったけど……わたしには王妃の地位は無理だって気づいたわ」


「……え?」


「わたしでは陛下を支えられないもの。隣に立って国を守るなんて無理だわ」


「そう……」


「あとは、ココとアンジェリカに任せたわ」


「ふふ。そうだね」


「アンジェリカはココを王妃にする為に協力しているのよね」


「うん。そうみたいだね」


「素敵ね。友……か」


「ふふ。スウィートちゃんにも友達がいるでしょう?」


「え?」


「アメリアちゃんが商人の話をしてくれていなかったら……スウィートちゃんは魔素をもらっていたかもしれないでしょう? 謹慎中なのに魔素を持っていたら今度こそ処刑されるところだったよ」


「確かに……」


「それに、わたしもスウィートちゃんの友達だよね?」


「……え?」


「嫌だった?」


「嫌なはずがないわ……酷い事をしたのに……赦してくれてありがとう」


「あはは。スウィートちゃんのそういうところ、好きだよ」


「……! 好き……? 誰かに好きになってもらえるって……嬉しいわね」


「うん! 心がホカホカになるよね」


「ホカホカ……そうね。すごくホカホカしているわ」


「ふふ。おじいしゃまも大好きなスウィートちゃんと旅ができて嬉しいだろうね」


「……!? クラスメイトはわたしがおじいしゃまって呼んでいるのを知っていたんだった……恥ずかしいわ」


「あはは。わたしもおじい様をおじいちゃまって呼んでいるから恥ずかしがる事はないよ」


「うぅ……恥ずかしい……あ、ペリドット様はあと二か月でアカデミーを辞めるのよね」


「うん」


「会うのもこれが最後になりそうね」


「……うん。そうだね」


「ペリドット様。ありがとう」


「え?」


「わたし、これからは『ありがとう』と『ごめんなさい』をきちんと言えるようになるわ」


「スウィートちゃん……」


「いつまでもわがままな公女ではいられないから。わたしもいずれどこかに嫁ぐだろうし……婚姻相手から嫌われないような……愛してもらえるような立派な女性になりたいの」


「……素敵だね」


「……そう……かしら」


「うん。すごく素敵だよ。スウィートちゃんと結婚する相手は幸せだね」


「……貴族の婚姻は家同士の繋がりの為という事は分かっているわ。でも……わたしはお互いに尊敬し合えるような関係になりたいの」


「今のスウィートちゃんならきっとできるよ!」


「……でも」


「ん? どうかしたの?」


「おじいしゃまと、お父しゃまが誰にも嫁がせたくないって言い出して」


「え? あはは! そうだったんだね」


「先が思いやられるわ」


「旅の途中で素敵な誰かにスウィートちゃんを奪われそうで心配なんだね」


「……そうみたい」


「いっぱい甘えてあげて」


「……え?」


「いっぱい大好きって伝えてあげて。それが一番の孝行だから」


「孝行?」


「うん。スウィートちゃんだって家族から好きって言われると嬉しいでしょう?」


「嬉しい……? 毎日朝から晩まで、なんなら夢の中でも『スウィートちゅわん。しゅきでしゅよぉ。んもう。かわいいんだからっ』って言われているけど……嬉しくはないような……」


「……スウィートちゃんも大変なんだね」


「ええ。愛が重いのよ」


「あはは! それだけスウィートちゃんの事が大切なんだよ」


「え? ペリドット様……何を……?」


 スウィートちゃんと話しながら、ベリアルの後頭部に顔をうずめて吸いついたのを見られちゃったね。

 かわいいツインテールを見ていたら身体が勝手に動いちゃったんだよ。

 スウィートちゃんに呆れられたかな?


「これは愛だよ。崇高な愛なんだよ」


「は!? バカだろ! お前はただの変態だ!」


 ベリアルがプリプリ怒り始めたね。


「ふふふ。よく気づいたね。そうだよ! わたしは変態なんだよ! もっと吸わせて!」


「うわあぁぁん! ジャック助けて! ってジャックが変態的にニヤニヤしながらオレを見つめている!? うわあぁぁん! 皆が変態になっていくよぉ」


「あはは! さあ、おとなしく吸われるんだよ!」


「嫌だよぉぉ!」


 嫌がるヒヨコちゃんも激かわだよ!


「(……わたしもおじいしゃまに毎日昼夜を問わず吸われるけど……ヒヨコ様も大変ね)」


 ん?

 スウィートちゃんが何か言ったけどよく聞こえなかったね。

 あぁ……

 昨日は寝ていないから、ベリアルの甘い匂いが疲れた身体を癒してくれるよ。

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