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ただぺるみだけが話す回……?

今回はベリアルが主役です。

「ぐふふ。ぐふふふ」


 うわ……

 ぺるみがオレを見ながら、ぐふぐふ言ってる……

 朝食の良い匂いがする第三地区の広場には椅子もテーブルもいっぱいあるのに、なんで目の前の椅子に座ってるんだ?

 朝から最悪な気分だ。

 また昨日みたいに脳みそを吸い出されるくらい吸いつかれたら……

 早めに逃げるか。

 でも、これからご飯だし、食べたらすぐに逃げよう。


 モグモグモグモグ……

 ばあちゃんが作るサンドイッチは最高だな!


「ぐふふ。ベリアル、おいしい?」


 こいつ……

 よだれが垂れてる……

 まさかオレを食べたいんじゃないよな?

 そういえば前にオレの内臓を見たいとか言ってたぞ……

 スナギモ?

 ヤキトリ?

 とかも言ってたよな?


 気をつけないと後ろからいきなり食いつかれるかもしれないぞ!


「ぷはっ!」


 ん?

 ヨシダのじいちゃんが吹き出した?

 どうしたんだ?


「ねぇねぇ。ベリアル、わたしが作ったワッフルも食べてぇ? ベリアルを想いながら作ったんだよぉ?」


 ……ニヤニヤしながら渡してきたな。

 気持ち悪……

 ん?

 このワッフル……

 生クリームとブルーベリーがある!

 うわあぁ!

 おいしそうだなぁ……


 まあ、ワッフルに罪はないからな。

 どれ……

 

 モグモグモグモグ……


 うまあぁぁぁぁい!

 ぺるみは変態だけど料理だけは上手いんだよな。


「ぐふふ。ぐふふふ。超絶かわいいピヨたん……わたしが作ったワッフルを食している。まるで一枚の絵画のような……」 


 ん?

 何か意味の分からない事を言い始めたぞ?


「そう。これは奇跡なんだよ。ベリアル……産まれてきてくれてありがとう……世界がキラキラと輝いて……推しが目の前で愛らしいクチバシで……」


 うわあ……

 こいつ大丈夫か?

 そうか、大量に出血したから頭がおかしくなったのか。

 いや、こいつはいつもおかしいぞ……

 

 こいつ……

 絶対にゼウスに似たな……

 かわいそうな奴だ。

 容姿だけじゃなくて性格もデメテルに似れば良かったのに。


「ねぇねぇ、ベリアル。今日はアカデミーに一緒に行ける?」


 ん?

 昨日は確か公開処刑だったんだよな。

 アカデミーは普通にあるのか?

 ぺるみは処刑があった事を知らなそうだな。

 まあ、知らない方がいいだろうけど。

 

「ねぇねぇ。ベリアル、今日はアカデミーが終わったら市場に行こうよ」


 大丈夫なのか?

 さすがに昨日の今日に市場に行くのは……


「クッキー屋さんのジャックも会いたがっていたよ?」


 ん? 

 ジャック?

 なんでぺるみがそれを知ってるんだ?

 昨日は市場には行っていないはずだよな。


「ずっと寝たままでつまらないんだって」


 ……?

 いつの間にかジャックに会いに行ってたのか?

 危ないんじゃないか?

 昨日の公開処刑で平民の皆はかなり興奮してるだろうし。

 普段は優しくても……

 やっぱり、しばらく市場には行かない方がいいだろ。


「ねぇねぇ。ベリアル。今日はアカデミーが終わったらジャックのお母さんのお手伝いをしようよ。ジャックのお世話でお店ができないんだって。わたし達でクッキーを売ろうよ」


 ……こいつ。

 危機意識が低過ぎだろ。

 平民に囲まれていきなり襲われたら……

 

 いや。

 オレはバカだな。

 市場の皆はそんな事絶対にするはずないよ。


「一日でも休むと売り上げが減っちゃうからね。クッキーはジャックの家でお母さんが焼いているからわたし達は売るだけでいいの。ね?」


 本当に、こいつはどこまでもおひとよしだな。


「ぐふふ。やっぱりベリアルはメイド服だよね……買ってくれたお客さんにはサービスとして壁ドン券を渡して……『オレの為にクッキーを買ってくれてありがとう』とかちょっと低めの声で耳元で囁くの! だったらメイド服じゃない方がいいかな? くぅぅ! 堪らないねっ! わたしが全部クッキーを買っちゃおうかな? 壁ドン券はわたしの物だよ! ぐふふ」


 ……こいつは、こういう奴だよ。

 っていうか、オレはまだ手伝うなんて言ってないぞ!

 勝手に話を進めるなよ。


 オレはどうしてこんな変態を好きになっちゃったんだ……?

 はぁ……

 ところで壁ドンってなんだろうな?

 壁ドーン?

 壁を壊すのか?

 意外に、カベドンって奴がいるのかも。

 なんか強そうだな……

 あぁ……

 オレは市場で何をやらされるんだろう。

 嫌な予感しかしないよ。

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