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楽しいとあっという間に時間が過ぎるよね

「お母様? 孫がどうかしたの?」


「……ハデスが勇気を出せないのならペルセポネから誘うしかないわね」


 誘う?

 お出かけに?

 でも、お出かけに誘うだけにしてはお母様の顔が真剣だね。

 

「……? どこに行くの?」


「……ペルセポネ。あなた……世間知らずにもほどがあるわ」


「え? 何が?」


「いい? まずハデスと二人きりになったらこう言うのよ?」


「ん? 何て言うの?」


「『今夜は眠りたくないの』」


「今夜は眠りたくないの?」


「そうよ。それから瞳を閉じるのよ?」


「瞳を閉じる……?」


 眠りたくないのに目を閉じるの?


「分かったわね?」


「……? うん。分かった」


「全く……ゼウスの兄だとは思えないわね」


「……ん? 確かにハデスとお父様の性格は似ていないよね」


「似なくて良かったのよ。ゼウスみたいな女好きにペルセポネは任せられないもの」


「でもお母様は、お父様の事が大好きなんだよね? えへへ」


「……自分でも驚いているわ」


 お母様が絶望の表情になっているね。

 でも、心からお父様の事が好きなんだね。


「お父様とお母様が仲良くしているとすごく嬉しいよ」


「ふふ。本当にペルセポネには敵わないわね」


「今日はお母様と一緒に寝たいな」


「あらあら。甘えん坊さんね。ふふ」


「あれ? そういえば、うさちゃんは?」


「あぁ。ペルセポネの部屋にベリス王のソファーを持ち込んでぐっすり眠っているわよ。よほど気に入ったのね」


「じゃあ、わたしの部屋で一緒に寝よう?」


「そうしましょう。またペルセポネと眠れる日が来るなんて……幸せだわ」


「わたしもだよ。あのね……お母様……?」


「ふふ。何かしら?」


「大好きだよ」


「……ペルセポネ。お母様は心配なの。オケアノスは大丈夫かしら」


「うん。ハデスとベリス王と話したらしいんだけど二人ともオケアノスは世界を滅ぼすつもりはないって言っていたよ」


「そう……あの二人が言うのなら……」


「あの二人は簡単には騙されないからね」


「でも……心配だわ」


「ふふ。オケアノスがね、子守唄を聞かせてくれたの」


「子守唄?」


「音程が微妙に外れていて気持ち悪かったけど……すごく優しい声だったよ。きっと子孫の皆にも聞かせていたんだろうね」


「そうね……子孫を溺愛していたようだから」


「わたしの中にオケアノスがいても、わたしはわたしだよ?」


「ペルセポネ……」


「だから……安心して欲しいよ。わたしはこれからもずっとずっと甘えん坊のペルセポネだよ?」


「……ペルセポネ。そうね。何も……変わらないわよね?」


「うん! わたしには分かるの。オケアノスはすごく家族想いで温かいんだよ。ちょっと悪ぶったりもするけど、本当は誰かの幸せそうな顔を見るのが大好きなの」


「まぁ……ふふ。ハデスと似ているわね」


「言われてみれば……あはは。だからオケアノスの事が好きなのかも」


「あらあら。ハデスが聞いたら嫉妬するわよ?」


「あはは!」


「そうそう。ハデスといえば昔ね? ポセイドンがオレンジが無限に出る……」


「え? そうなの? 知らなかった! 他には?」


「……そうしたら、ああなって……」


「あはは!」



 って……

 しまった。

 一晩中お母様と話しちゃったよ。

 今日は早めに市場に行く予定なのに。

 でも楽しかったな。

 やっぱりわたしはお母様の事が大好きだよ。

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