表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

977/1484

動き始めた世界とうさちゃんの未来?

 第三地区の広場に帰ってくるとベリアルが飛んでくる。

 もう夜だから皆は寝ているみたいだね。

 ベリス王を空間移動でベリス王国まで連れて行ったけど、パートナーさんと妹さんとで誰が赤ちゃんを抱っこするかの勝負をしていたんだよね。

 あのカードゲーム……

 皆がズルをしていたよ。

 妹さんだけが負け続けていたけどね。

 ベリス王もパートナーさんもずっとインチキをしていた。

 勉強になったよ。

 誰かを騙す時は冷静じゃないといけないんだ。


 妹さんはずっとベリス王とパートナーさんに遊ばれていたね。

 勝たされそうになると負けさせられて。

 一喜一憂振りがかわいいから、ついベリス王もパートナーさんも妹さんを構いたくなっちゃうんだね。

 仲が良いのが伝わってきてわたしまで嬉しくなったよ。

 これからは皆で穏やかに暮らしていくんだろうな。


 赤ちゃんは今朝孵った事にして、娘さんは明日亡くなった事にするのか。

 葬儀は明後日だって言っていたよね。


「ぺるみは今帰ってきたのか。甘い匂いがするっ!」 


 ベリアルはわたしじゃなくてお土産を待っていたのかな?

 つぶらな瞳をキラキラ輝かせてお土産の袋を見ているね。


「ふふ。お土産だよ」


 シャムロックのおばあ様からお菓子をもらってきたんだよね。

 もう少しでベリス王から高いお菓子を買わされるところだったよ。


「うわあぁ! 何かな? 何かな? クッキーだ! 食べてもいいか?」


 ベリアルがお菓子を食べ始めると、おばあちゃんが家から出てくる。


「帰ってきたか」


「……うん。シャムロックにも行ってきたの」

 

「そうか、そうか」


「おばあ様とおじいちゃまは相変わらずだったよ」


「ぺるみは……大丈夫か?」


「うん。ベリス王に言われて分かったの。わたしは自分の事もまともにできていないのに会った事も無い人間の心配をしている場合じゃないって。それに……今回の事で平民を嫌いになんてならないし」


「そうか……」


「心配かけてごめんなさい」


「ぺるみは幸せだなぁ。家族が大勢いるからなぁ」


 ベリス王との話を聞いていたんだね。


「……うん」


「サクサクサク……なんだ? シャムロックに行ってたのか? オレも行きたかった。サクサクサク……」


 ベリアルは、クッキーを全部食べ終わっちゃいそうだね。


「ぺるみは今日は天界で眠る日か」


 おばあちゃんがベリアルを抱っこしたね。

 クッキーを食べながらウトウトしているよ。


「うん。ハデスはタルタロスで忙しいだろうから……あ。ふふ。ベリアルは寝ちゃったね」


「ぺるみが帰るまで起きてるんだって頑張ってたんだ」


「そうだったんだね。ベリス王のカードゲームを見ていないで帰ってくれば良かったね」


「はは。インチキカードゲームか」


「すごかったんだよ? 皆で騙し合っていたよ」


「ベリス族らしいなぁ」


「あ、そうだ。うさちゃんの魔法石が壊れそうって何?」


「あぁ……その事はばあちゃんに全部任せてくれ。他の奴じゃなんともならねぇだろうからなぁ」


「何か考えがあるの?」


「それしか方法がねぇんだ。でも……そうなったらうさちゃんは古代の闇の力を失うだろうなぁ」


「……それって?」


「いいか? うさちゃんは魔法石でできてるんだ」


「……うん」


「どうして魔法石が聖獣になったのかは誰にも分からねぇ」


「偶然が重なったのかな」


「だろうなぁ」


「うさちゃんはどうなるの?」


「……違う身体に入るしかねぇだろうなぁ」


「違う身体に?」


「ぺるみには、もう分かるだろ? 『身体』『魂』『力』の関係……うさちゃんの魔法石でできた身体は限界だ。古代の闇の力は強過ぎる。次の身体に入るのに邪魔になる。魂だけを次の身体に持っていくんだ」


「うさちゃんは今の記憶を持ったまま次の身体に入るの?」


「それはうさちゃんの意思で変わってくるだろうなぁ」


「うさちゃんの意思……」


「新しい身体で一から始めてぇかもしれねぇだろ?」


「……うん」


「うさちゃんの意思を尊重しながら次の身体を探すからぺるみは安心して待ってろ」


「おばあちゃん……わたしにできる事はないのかな?」


「……ばあちゃんは思うんだ。うさちゃんの幸せはぺるみと一緒にいる時間の中にある」


「……? おばあちゃん?」


「こればっかりは授かり物だからなぁ」


「授かり物?」


「……今日は疲れただろ? 天界でデメテルが待ってるぞ? うさちゃんは先に天界に行ってベリス族のソファーで寝てるみてぇだなぁ。どこに行くにもソファーごと移動してなぁ。今日もずっとソファーで寝てたぞ? 気に入ったんだなぁ」


「そっか……じゃあ行ってみるよ」


「ぺるみ」


「うん?」


「明日は朝一番で市場に行ってみろ」


「……え?」


「皆がぺるみを待ってるぞ?」


「……? うん。分かった。早めに天界から戻ってくるよ」


「ぺるみのまいた種はしっかり芽を出したなぁ」


「……おばあちゃん?」


「時代が少しずつ変わってきてるみてぇだ。誰も気づかねぇくらいゆっくりゆっくりなぁ」


「時代が……少しずつ?」


「さあ、早く寝ろ。明日も早いぞ?」


「……? うん。おばあちゃん、おやすみなさい」


 時代が少しずつ変わってきている?

 良い方に?

 悪い方に?

 明日市場に行けば分かるのかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ